学校の天井などにある、あの模様は、一体何なのか?という話がありました。
これについて、建物の材料について研究している田村雅紀先生(工学院大学 建築学部 教授)が説明していました。
学校や会社などの天井を見た時に、デコボコとしたキズや穴のような模様を見たことがある。
この模様は、「トラバーチン模様」と言って、天然の石灰石をマネした模様。
トラバーチンとは、石灰質の天然石で、表面の小さな穴が特徴。
天然のトラバーチンは、かつて海だった場所にたまった堆積物の中の微生物の死がいなどが、
長い年月をかけて分解され、空洞が出来ることで、この模様が生まれる。
加工しやすいことから、イタリアのコロッセオや、
トレビの泉など、西洋の世界遺産の材料にも使われ、
高級感のあるイメージで、人気の石材。
なぜ、天井の板に模様を取り入れたのかは、はっきりしたことはわかっていない。
しかし、高度成長期に新しい建築材料が開発され、トラバーチンの模様が取り入れられたといわれている。
高度経済成長期の日本では、建設ラッシュで、多くの建物が建ち、その材料を作る建築材料業界も急成長。
さらに、燃えにくい素材や、高性能で安い建築材料を研究。
材料費を抑えるための研究が進む中、火に強い岩綿を使った天井用のボードが誕生。
その表面には、トラバーチンに似た模様が。
本来なら、キレイで平らな方がよいとされそうだが、実はここに隠されたメリットがあった。
天然のトラバーチンを使うと、確かに高級感が出るが、材料としては高く、お金がかかる。
しかし、このボードを使えば、石壁風の模様で高級感もありながら、値段も安く、
ネジや くぎの跡が目立たないなどのメリットがある。
さらに、音が吸収されることで音の反響が減り、
必要な音だけが、聞き取りやすくなる。
このような、多くのメリットから広く使われるようになった。