回転寿司屋さんに行くと、粉末状のお茶を自分で作る店が多い。
でも、なぜ、急須にお茶っ葉を入れて作るお茶ではないのか?
これについて、お茶について研究している中村順行 先生(静岡県立大学 茶学総合研究センター長)が説明していました。
そもそも、お寿司屋さんでお茶が出されているのは、お寿司をよりおいしく食べるため。
お寿司を食べると、口の中に魚の味が残る。
これだと、次のネタを食べると、前のネタと味がバッティングして、次のネタがおいしくない。
そこで活躍するのが、お茶に含まれている「カテキン」。
カテキンは、舌に残った魚の脂を洗い流し、お寿司の味をリセットするのに効果てきめん。
カテキンには、抗菌・消臭効果があり、食中毒にも効果的。
なので、お寿司にはお茶という名コンビが誕生した。
お茶は、大きく分類して2つに分けられる。
1つは、「本茶」。
煎茶や玉露など、私たちがふだんイメージする細長いお茶っ葉。
そして、もう1つが、お茶の葉を粉状に細かくした「粉末状のお茶」。
お寿司屋さんで使われているのは、この粉末状のお茶が多い。
粉末状のお茶は、「香りが少ない」「味があっさり」「値段が安い」という特徴がある。
実は、高級なお茶よりも、粉末状のお茶の方が、お寿司がおいしく感じられる。
高級な玉露のお茶だと、少し甘みがあり、お寿司と相性がよくない。
一方、粉末茶は、甘みと渋みのバランスが良く、お寿司にピッタリ。
粉茶は、香りが強すぎず、味が濃すぎないので、寿司の味を邪魔しない。
そのため、高級寿司店でも、煎茶などの粉末状のお茶が使われている。
しかし、なぜ高級な本茶は、お寿司と合わないのか?
高級な煎茶や玉露などの本茶というお茶は、グルタミン酸やテアニンという旨味成分が多く、
これが、お寿司の旨味とケンカして、寿司の味の良さを消してしまう。
つまり、甘みと旨味が少ないお茶ほど、お寿司と合うお茶といえる。
ちなみに・・・、
粉末茶に「抹茶」もあるが、
抹茶は甘さがあって、更にお茶の中でも特に渋みが強いお茶なので、お寿司にはあまり合わない。