「ポリフェノール」って何?という話がありました。
これについて、日本のポリフェノール研究の第一人者、
近藤和雄 先生(お茶の水女子大学 名誉教授)が、説明していました。
ポリフェノールは、赤ワインに入っているとか、健康に良いとか、よく耳にすると思うが、
実は、ポリフェノールは、何か特定の1つのものを指すのではなく、
植物の苦味・渋味成分ほとんどのこと。
では、どんな植物にポリフェノールのは含まれているのか?
ほぼ、すべての植物に含まれている。
ポリフェノールの種類は、とても多く、自然界に約7000〜8000種類 あると言われている。
しかも、その全貌は、未だに明らかになっていない。
皆さんが、よく耳にする大豆の「イソフラボン」、柿の「タンニン」、ブルーベリーの「アントシアニン」、お茶に含まれる「カテキン」も、
実は、すべてポリフェノール。
では、なぜ、植物のほとんどに、苦味や渋味であるポリフェノールが含まれているのか?
その理由は、大きく2つ。
理由の1つ目は、
「苦味・渋味で虫や鳥に食べられるのを防ぐため」
例えば、アーモンドなど、ナッツ類の周りの薄皮は、食べると渋味を感じるが、
薄皮部分には、「レスベラトロール」というポリフェノールが、ぎっしり詰まっている。
植物は、まず、食べやすい果実を鳥に食べさせ、種の周りを渋くすることで、かまれず吐き出されたり、
丸飲みさせて、フンとして出されることで、生育範囲を広げることができる。
理由の2つ目は、「紫外線対策」。
植物にとって、紫外線は、強いストレス。
紫外線を浴びすぎると、枯れる原因となる「活性酸素」が発生し、植物は、やがて枯れてしまう。
そこで、植物は、体内でポリフェノールを作り出す。
ポリフェノールは、紫外線を吸収したり、発生した活性酸素を退治。
そのため、子孫を残すための種や、直接、紫外線を浴びる葉っぱや皮に、ポリフェノールは多く含まれている。
ポリフェノールがないと、植物は生きられない。
そのため、ほぼすべての植物に含まれている。
そんなポリフェノールは、人間にとっても健康にいいという。
考え方は、植物と一緒。
人間は、呼吸をして酸素を取り込み、それをエネルギーに変えて活動している。
しかし、その際に、一部の酸素が活性酸素に変化してしまう。
この活性酸素は、ふだんは、体内の細菌やウイルスを撃退してくれるが、
増えすぎると、人間の正常な細胞をも攻撃し、傷つけてしまう。
これが「酸化」という現象。
この細胞の酸化が、老化の原因となったり、心臓病などのもととなる動脈硬化や、そしてガンなど、さまざまな病気を引き起こしてしまうと言われている。
しかし、抗酸化作用を持つポリフェノールを摂取すると、体内で活性酸素を吸収して、退治する働きをしてくれることが研究で分かっている。
そのため、ポリフェノールは体によい。
ちなみに・・・、
ポリフェノールは、植物の色素成分でもある。
例えば、あじさいの青や、イチゴの赤など、
花や果実の色のほとんどが、ポリフェノールによるもの。