寒い時や、風邪を引いた時などに出る「鼻水」。
この鼻水ってなに?という話がありました。
これについて、
鼻の機能に詳しい、石井正則 先生(JCHO東京新宿メディカルセンター)が、
鼻の穴の中に、指を入れてみると、湿っている。
これは、鼻粘液といって、鼻水のもと。
鼻の中にある鼻甲介(びこうかい)というヒダが、何かしらの刺激を受けると、
鼻粘液が多く分泌されて、鼻水となって外に出てくる。
鼻水がなくなると、いろいろな病気を引き起こす。
最終的には、死に至る。
鼻水は、3つの力で体を守ってくれる。
【1】熱い空気を体温に近い温度まで下げる
例:ラーメンを食べる時の湯気を吸う
鼻水がない状態で熱い空気が体内に入ると、気道や肺がダメージを受け、呼吸困難を引き起こす可能性がある。
そのため、鼻水は熱い空気の温度を約1秒で適温まで下げる。
他にも、キムチ鍋のような辛い鍋を食べると、鼻水がたくさん出る。
これは、口の中の粘膜にある「TRPV1」というセンサーに、カプサイシンがくっつくから。
TRPV1は、人間が死に至る43度以上の熱に反応する。
つまり、体は、とうがらしの辛さを43℃以上の熱と勘違いし、熱を下げようと大量の鼻水を分泌する。
【2】冷たく乾燥した空気に潤いを与える
例:寒い場所で息をする
冷たい空気、つまり、乾燥した空気が肺の中に入ると、
体内の細胞が破壊されて、ウイルスが一気に増殖してしまう。
そのため、鼻水で潤いを与え、鼻甲介は血液を集め膨れ上がり、冷たい空気を温める。
しかし、鼻甲介が膨らみ続け、鼻水の分泌が続くと、鼻詰まりが起きる。
長時間、寒い場所にいると、鼻水は出続け、鼻甲介は膨らみ続け、鼻の中のスペースを奪う。
鼻詰まりを解消するには、ペットボトル(500ml)を使う。
液体が入ったペットボトルを脇に挟む。脇の皮膚の中に鼻甲介の血管を収縮させる交感神経があり、これに刺激を加えることで、鼻甲介の腫れを引かせることができる。
【3】体内に侵入した異物を外に出す
例:空気中のウイルスを吸ってしまう
・鼻水がウイルスを外に出す。
・鼻の奥からのどまでには、「線毛」という小さな毛が生えていて、この毛は常に小刻みに動く。
これが、鼻水やウイルスをのどの奥へ流す。
鼻水がウイルスにまとわりつき、胃液で殺菌する。
・鼻甲介が刺激を受けると、くしゃみが出る。くしゃみをすると入り込んだウイルスやホコリを外に吐き出してくれる。