流れ星に願いごとをするのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/01/27】

流れ星に願いごとをするのはなぜ?という話がありました。

これについて、世界各地の民族の伝統や文化を研究する、後藤明 先生(南山大学 教授)が説明していました。

流れ星は、世界中で見ることができる現象なので、

「流れ星に願いごとをする」という風習も、古くから、世界各地で、行われてきたと考えられる。

例えば、ヨーロッパの一部の地域の伝承では、

神様が天国のドームを開けて、地上を見守る時に、隙間から漏れた光が、流れ星だと考えられていた。

そのため、星が光っている間に願いごとをすれば、隙間から神様に届きかなえてくれると、されていた。

ユーラシア大陸に広く分布するアルタイ系諸民族の間でも、同じく、

流れ星が流れた時には、神様が、こちらをのぞいているとされていた。

このように、神様に願いをかなえてもらうために、流れ星に願いごとするという風習が、

世界各地に存在していたと考えられる。

しかし、昔の日本では流れ星に、ポジティブなイメージはなかった。

室町時代以前の文献「応仁記」には、流れ星を

「大乱が起こることを天があらかじめ示されたのか。南西から北東の方角に光る物が飛んだ」

などと書かれていて、「戦など災いの予兆」と考える記述が多数ある。

流れ星は、めったに見られない不思議な現象なので、予測できないものとして、

昔の人は、恐れていたのかもしれない。

その後、天文学の発達などもあって、流れ星を不吉なものだとする考え方も、少なくなっていった。

そんな中で、日本にも、海外の「流れ星にお願いをする」という文化が入ってきて、

現在のように定着していったのではないかと考えられる。

明治時代の辞書「諺語大辞典(げんごだいじてん)」には、「流れ星に願いごとをすればかなう」という風習がある、と書かれている。

昭和初期に全国各地の流れ星に関する言い伝えを集めた「日本星座方言資料」には以下のように書かれている。

静岡県の榛原郡の旧勝間田村では・・・、

「好きな女の名前を三度唱へると それを嫁とすることができる。」
(好きな女性の名前を3度唱えると結婚できる)

神奈川県の各地では・・・、

「流星が自分の方に流れてきたら、懐を開けて入れるやうにすると金持ちになる。」
(懐を開けて入れるようにするとお金持ちになる)

青森県の下北郡では・・・、

「流星をみたらば その人の年齢の数だけ唾をせぬと死ぬ」
(ツバを3回吐いて悪いものを流し、心の中で流れ星にお願いをする)

などといった伝承があった。