なぜ竹には節がたくさんあるのか?という話がありました。
これについて、植物の形について研究している島弘幸 先生(山梨大学 生命環境学部 教授)が説明していました。
実は、この節ひとつひとつに、「成長点」と呼ばれる箇所がある。
この成長点によって、竹は他の樹木よりも早く成長することができる。
ほとんどの樹木の場合、成長点は枝や茎の先っぽにしかない。
つまり、木が成長する時は、必ず、枝・茎の先端から成長する。
それに対して、竹は、節ごとに成長し伸びていく。
実は、タケノコを切ると見かけるあのヒダヒダ。
あれが、成長する前の節。
竹は、節にある成長点ごとに、一斉に成長するため、めちゃめちゃ早く成長する。
実際にタケノコに細かくシールを貼り、成長を見てみると、
成長点のある節から、一斉に伸びていることが分かる。
竹は、2か月で大人になると言われている。
その間、それぞれの成長点では、1日に約2〜3mm伸びる。場所によっては1cm以上になることも。
1本の竹には平均60個の節があり、2か月で高さ約10mに成長する。
林野庁のホームページには、1日にで最も伸びた竹の記録には、マダケで、121cmとある。
では、なぜ、竹は、そんなに早く成長しなければならないのか?
それは、タケノコがおいしいから。
タケノコはとても柔らかいので、天敵の野生動物にとっては、ごちそうとなる。
竹は、成長してからも長く生き延びるために、ある進化をした。
竹を切って、真ん中と根っこの部分を比べてみると、真ん中の方が圧倒的に長いことがわかる。
これは、風や力が加わった時に、竹自身が折れないように進化した。
竹の中には、細かい繊維が縦方向に並んで埋まっている。
だから、縦に引っ張る方向には、すごく強い。
しかも、他の植物とは違い、竹の中身は空洞なので、横から力が加わった時に、竹全体がグッとうまくしなることができる。
しなる時に、外側の縁部分だけ伸び縮みすればよく、変形しやすい。
更に、力のかかる「地面に近い節」は、折れないように間隔を短く密集させ、
力を受け流す「真ん中の節」は、しなりやすいように間隔を大きくすることで、
より折れにくい構造になっている。
しかも、竹は中身が空洞で軽いので、
どれだけ成長しても、自分の重さで折れることはない。
竹は、「成長のはやさ」と、生き延びるための「軽さ」と「強さ」、
これらを全て併せ持った理想的な構造の植物。