洗濯機にタテ型とドラム型があるのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/04/28】

洗濯機にタテ型とドラム型があるのはなぜ?という話がありました。

タテ型の洗濯機

ドラム型の洗濯機

これについて、洗濯のメカニズムに詳しい、大矢 勝 先生(横浜国立大学 名誉教授)が説明していました。

人類の歴史は、汚れとの戦い。

人類は、あらゆる発明を生むことで、4000年以上汚れを落としてきた。

人類の洗濯の歴史は古く、今から4000年以上前、紀元前2000年ごろのエジプトのお墓の壁には、人々が洗濯をしている様子が描かれている。

また、紀元前3000年代、メソポタミア文明で栄えていた現在のイラクがある地域では、既に、石けんがあったという。

当時は、羊を焼いて神に供える風習があった。

その際、滴り落ちた「羊の脂」と「灰のアルカリ成分」と混ざり合って、偶然、せっけんのような成分が出来上がった。

泡立ちがよくて、汚れが落ちやすい、ということが発見された。

石けんや洗剤の主成分である「界面活性剤」は、水になじみやすい部分と、油になじみやすい部分、両方の特徴を持っている。

そのため、水だけでは、しみ込んでいけない繊維の内部まで入り込み、汚れを包み込んで浮かせることができる。



この浮かせた汚れを、どうやって洗濯物から、きれいに、はがすかということに、人類は知恵をしぼって悩み続けてきた。

汚れをはがす方法は、大きく分けて「こする」と「たたく」の2通りがある。

こすり洗い

「こする」操作で、一番代表的なのは、洗濯板で衣類をゴシゴシとこすること。

洗濯物を凸凹の板にこすり合わせることで、浮かせた汚れをはがそうとする。

洗濯板のこすり洗いの原理を生かしたのが、タテ型の洗濯機。

タテ型の洗濯機の底面には、グルグルと回る「パルセーター」が付いている。

これは、洗濯板が丸くなったようなもの。

これが回ることによって、そこに衣類が接触してこすられる。

そして、その渦流の中で、衣類どうしが、また、こすれ合ったり、汚れを落とすのに程よい機械力が加えられている。

そして、渦流が反転する。

その時に、ねじれが起こって、私たちがしぼるような働きが、そこに作用している。

たたき洗い

一方の「たたき洗い」は、インドのガンジス川で、洗濯物をバチャンバチャンとたたいて洗っているような洗い方。


このたたき洗いの原理を生かしたのが、ドラム型の洗濯機。

ドラム型の洗濯機は、少ない水で、一定時間、同じ方向に回転を続ける。

洗剤液をしみこませた衣類を回転で上に持ち上げ、それがボチャンと下に落ちる。

その下に当たった時のたたきつけの力で、汚れを落とす。

何度もたたきつけることで、浮かせた汚れをはがす。


タテ型は「こすり洗い」、ドラム型は「たたき洗い」、この2つの洗い方のはざまで、人類は4000年にわたり悩み続けてきた。

近年の日本の洗濯機を見てみると、

どちらかと言えば、タテ型が主流だったことがわかる。

タテ型洗濯機は、ドラム型と比べて、使用する水の量が非常に多い。

日本は水が豊富で、多くの雨が降り、どこに行っても近くに川がある。

一方、ヨーロッパでは、ドラム型が主流。

地中海などでは、雨が少なく、少ない水で洗う必要があった。

洗浄力自体は、タテ型洗濯機の方が優れている。

一方、ドラム型は衣類にダメージを与えにくい。

ちなみに、洗濯物の量は・・・、

タテ型は、こすり洗いなので、洗濯物は少なすぎるよりも、ある程度の量が必要。

ドラム型は、落下させてたたいて汚れを落とすので、詰め込みすぎるよりは、洗濯物の間に少しすき間があった方がよい。