枕がかわると眠れないのはなぜ?という話がありました。
これについて、脳の働きと睡眠などについて研究している 枝川 義邦 先生(早稲田大学 理工学術院 教授)が説明していました。
近年、脳の中に「デフォルト・モード・ネットワーク」と呼ばれる機能が見つかった。
これがあるから、枕がかわると眠れないという状態になると考えられる。
成人の場合、脳の重さは約1400gで、体重全体の約2%しかない。
しかし、脳が使うエネルギーは膨大で、消費カロリーに換算すると、体全体の5分の1。
なんと、20%ものエネルギーを使っている。
しかし、なぜ脳がこれだけエネルギーを使うのかは、今まで謎とされてきたが、
デフォルト・モード・ネットワークが原因ではないかと考えられる。
現代では、私たちは、大抵の場合、安心して眠れているが、
時代を遡り、太古の昔までいくと、森で生活していた時代があった。
この時は、眠っている時に、いつ猛獣が襲ってきて食われてしまうか分からない危険があった。
そんな中、眠っていても、襲われた時に、すぐ逃げられる状態。
つまり、寝ているのに、脳は起きていて、警戒モードにするという機能が備わったと考えられる。
これが、デフォルト・モード・ネットワーク。
例えば、自宅などで、リラックスしていても安全だという経験を繰り返すことで、
脳の警戒モードをオフにしてぐっすり眠れる。
しかし、環境が変わると「食われる」と脳が思って、警戒モードをオンにしてしまい、寝ているのに、半分起きている状態になる。
警戒モードがオンになっている時は、たくさんのエネルギーを使うので、「旅疲れ」や「疲れが取れてない」が起こる。
つまり、枕がかわると、脳が「環境が変わった」と感じ、警戒モードがオンになるため、深い睡眠が取れない。