人間だけが絵を描けるのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/05/12】

人間だけが絵を描けるのはなぜ?という話がありました。

これについて、芸術と人間の進化や発達の関係を研究している、齋藤亜矢先生(京都芸術大学 文明哲学研究所 教授)が説明していました。

人間だけが絵を描くことができるのは、言葉を使うから。

チンパンジーやオランウータンなども、絵筆を扱って絵を描くことができる。

基本的には、何を描いているかがわからない、なぐり書きのような絵。

しかし、人間の子どもが描いた絵は、何の絵かがわかる。

このように、自分が表したい形を具象的に描けるのは、人間だけ。

それには、言葉が深く関わってくる。

「ことば」と「絵」の2つに、どのような関係があるのか?

例えば、チコちゃんはどんな子?と聞かれた場合、

顔が大きい、おかっぱなど、描こうとして頭の中で言葉になって覚えていれば、チコちゃんとして絵描ける。

言葉で説明できなかったことは、絵にも描けない。

人間は、言葉を覚える時、色や形の特徴、におい、触った感触、何をして自分はどう感じたかなど、経験をもとにして物の特徴を整理して、名前と結びつけて覚える。

そして、目の前にないものを描こうとする時、物の名前から言葉で整理した特徴を思い出し、頭の中にイメージを作ることで、絵が描ける。

これができるのは人間だけだという。

ある実験では、チンパンジーの顔のイラストを用意して、それにチンパンジーが目を描き入れるかを調べた。

言葉を使わないチンパンジーでも、見慣れているチンパンジーの顔を完成させることができるのか?という実験。

チンパンジーは、グチャグチャとした線を描き、顔を完成させることはできなかった。

一方、人間の場合、まだ言葉がほとんどわからない子ども(1歳5か月)は、チンパンジーと同様、顔を描くことはなかった。

この時点で、大きな違いはない。

しかし、言葉を覚え始める2歳半から3歳ごろになると、迷わず、目を描き足し、さらに口や鼻も加え、顔を完成させた。

物を説明する言葉が増えていくと、頭の中のイメージもどんどんハッキリして、絵にも描けるようになる。

さらに、5歳になると、「○○って描ける?」と聞くと、特徴を口にしながら、絵のリクエストにも応えてくれるようになる。