雑草ってなに?という話がありました。
これについて、植物の成長について研究している、古本強 先生(龍谷大学 農学部 教授)が説明していました。
みなさん「雑草」というが、「雑草」という名前の植物は存在しない。
しかし、アメリカで雑草の研究をしている、アメリカ雑草学会が、雑草がなんなのか定義している。
経済的損失、または生態系への損失を引き起こしたり、人間や動物に健康上の問題を引き起こしたりする、
それが生えている場所で望まれていない植物、と書かれている。
要するに、雑草とは、望まれない所に生えているすべての草。
畑で野菜の周りに生えてきて邪魔な、あの草は、農家から望まれていないので、雑草。
庭の手入れをしたのに、次から次へと生えてくる、あの草も、庭の持ち主には望まれていないので、雑草。
駐車場で脇にボーボーと生えてる、あの草も、管理人からは望まれていないので、雑草。
では、コンクリートから生えてきている「ど根性大根」はどうなのか?
他にも、道端に生えている「菜の花」はどうなのか?
邪魔だと思う人にとっては、雑草だが、
好きな人にとっては、雑草ではない。
つまり、生えている草が雑草にあたるかどうかは、人それぞれの主観による。
ところで、雑草について、ひとつ疑問がある。
雑草は圧倒的なスピードで大きくなって増えるイメージがあるが、どうしてなのか?
猫じゃらしのような雑草と、普通の植物とでは、光合成のシステムが違う。
普通、植物は、太陽の光がどんどん強くなった時に、光合成がそれに合わせて、どんどん活発になっていくが、
大気中には、約0.03%しか二酸化炭素がないため、光合成のスピードには限界がある。
しかし、雑草は、ターボエンジンのような光合成システムを持っていて、
二酸化炭素を体中に、ためておくことができる。
それで、普通の植物よりも光合成をどんどんできるようになっている。
トマトやナスなどは、ターボエンジンを持っていないが、
サトウキビやトウモロコシなどの背の高い植物は、持っている。
これらは、もともと雑草で、人間が食料用に改良したもので、背が高い。
しかし、それならば、全ての植物がターボエンジンを持っていればよいのではないか?
そんな単純な話ではない。
仮に、ターボエンジンを積んでいるスーパーカーを想像してみて下さい。
遠くの場所に行くのには、あっとう間に着いて便利だが、
燃費が悪い。
雑草も、あっという間に育つが、
日ざしが弱い所では、余計にエネルギーを使うので、実は枯れやすい。
雑草は、望まれない場所で生き残るために、普通の植物よりも燃費が悪く枯れやすい、というリスクを負ってでも、早く成長することを選んだと言えるかもしれない。