なぜチューリップは球根で植えるのか?:チコちゃんに叱られる!【2023/06/09】

チューリップは、なぜ球根で植えるのか?という話がありました。


アサガオやヒマワリなど、

普通、植物を育てる時は、種を植える。

しかし、チューリップは、教科書や図鑑などを見ても、種ではなく球根から育てると書いてある。

これは、なぜか?

これについて、チューリップに詳しい、小池安比古 先生(東京農業大学 農学部 教授)が説明していました。

種からでも育てられるが、花が咲くまで、5、6年かかるから。

こちらが、チューリップの種。

チューリップを種から育てた場合、

1年目に芽を出し、細い葉を伸ばす。

その葉が光合成をしてつくった栄養分によって、地中に小さな球根がつくられ、葉は枯れる。

2年目、この球根の栄養を使って、少し大きな葉ができ、土の中の球根が少し大きくなって、葉は枯れる。

これを繰り返し、3年目、4年目と、葉っぱと球根を大きくしていき、

5年目、初めて花を咲かせることができる。

この時、球根も十分大きく育っている。

花を咲かせたチューリップの球根をよく見ると、皮の中に小さな球根がいくつか包まれている。

この小さな球根を植えると花が咲く。

球根から植えた場合、約3か月で葉が生え始め、4か月ほどでつぼみができると、

植えてから約5か月で花が咲く。

球根は花を早く咲かせることができるので、小学校などでは、チューリップを球根から育てる。

「球根」とはいっても、単純に根っことは言えない。

こちらは、チューリップの球根の断面。

下に根があり、中央に茎と花、その周りに葉がある。

そして、葉っぱの一部である「りん片」という部分が、大きくなっている。

りん片は、水分や栄養分を多く含んでいる部分。

これと同じ構造をしているのが、たまねぎ。

たまねぎも、栄養をため込んだ球根。

この他にも、じゃがいもやれんこんは、茎が大きくなった球根。

さつまいもは、根が大きくなった球根。

栄養を豊富にため込んでいる球根は、人間の栄養源としても重宝されている。

さらに、球根から育てると、もうひとつメリットがある。

球根は元の球根の花の特徴をそのまま受け継ぐ。

例えば、赤いチューリップの球根からは、赤いチューリップが育つ。

いわば、クローンのようなもの。

しかし、種から育てた場合、育ててみないと、何色が咲くからわからない。

チューリップは、一本の花につき300粒ほどの種をつくるが、同じ色とは限らない。

種は、様々な環境の変化に対応できるように、ひとつのチューリップからつくられた種でも、

花の色や背の高さ、葉の大きさなどが違った花を咲かせる。

ちなみに、こちらの花壇は、ひとつのチューリップから取れた種を育てたもの。

確かに、色や大きさがバラバラなのが分かる。

種は子ども、球根はクローン(分身)。

なので、球根は、必ず同じ花の色同じくらいの背丈のチューリップに成長する。

チューリップ畑がキレイなのは、この性質を利用しているから。

球根であれば、色や背丈が咲く前から分かるので、キレイに色分けすることができる。