なぜトイレットペーパーだけトイレに流していい?という話がありました。
これについて、黒﨑暁さん(トイレットペーパー製造会社 社長)が説明していました。
「トイレットペーパーだけトイレに流していいのは、紙そのものだから」
紙は木の繊維を水と混ぜて、薄く延ばしたあと、
乾かしている。
トイレットペーパーも、同じ方法でつくられている。
なので、トイレットペーパーは、まさに紙そのもの。
だから、トイレに流してもいい。
紙そのものだと、なぜ流してよいのか?
トイレットペーパーをちぎってみると、よくわかる。
端の部分がボソボソとしている。
これが木の繊維。
紙は、この細い糸のような繊維が、たくさん絡み合ってできていて、
水に入れると、繊維が細くほぐれる。
なので、トイレに流しても詰まりにくい。
このように、トイレットペーパーは、溶けているのではなく、ほぐれているだけ。
そもそも、「水に溶ける」とは、砂糖のようにものが水に消えて見えなくなること。
一方、トイレットペーパーを水に入れて、かき混ぜても、繊維は消えない。
その後、1時間置いても、下に沈んだままで、溶けてはいない。
トイレットペーパーをトイレに流してもいいことは、わかった。
では、ティッシュペーパーも流してもいいのか?
ティッシュペーパーは、トイレに流してはいけない。
ティッシュペーパーは、鼻をかんだり濡れたものを拭いたりするので、
ノリのような役割をする樹脂を混ぜ、水に触れても、ほぐれづらくなるようにつくられている。
そのため、トイレに流すと、つまってしまう。
他にも、一般的にポスターやお札など、私たちがよく目にする紙は、水に入れても、ほぐれないようにつくられている。
トイレットペーパー以外の紙は、
水でほぐれないように、製造過程で、様々な加工がされている。
トイレットペーパーは、加工されていない、まさに紙そのものだと言える。
つまり、紙そのものであるトイレットペーパーだけが、水に入れるとほぐれるので、トイレに流してもいい。
ちなみに、トイレに流されたトイレットペーパーは、下水道管を通って、下水処理場に運ばれる。
それを、微生物が食べて、水をきれいにする。
トイレットペーパーを食べた微生物が、ゴミや土などと一緒になって沈んで「汚泥(おでい)」というものになる。
それらは、リサイクルされ、身近な所に使われている。
例えば、建設現場の穴を埋める土、下水道管やレンガなどの原料、肥料、花瓶や貯金箱など、様々なものに生まれ変わっている。