卵の黄身についてるあの白いものは何?:チコちゃんに叱られる!【2023/06/23】

卵の黄身についているあの白いものは何か?という話がありました。


これについて、養鶏について研究し、卵にも詳しい、信岡誠治 先生(東京農業大学 元教授)が説明していました。

この卵の黄身についている、白いやつの名前は、「カラザ」。

主な成分は、タンパク質で、卵白の一部。

カラザは、卵を割った時は白い塊だが、

実は、卵の中では、弾力のある濃厚卵白と黄身の間をねじれたひも状になって、つなぎ、黄身を両側からハンモックのようにつっている。

MRIで、断面を撮影したのがこちら。

卵の殻の上の部分だけを削り取ってみると、

確かに、カラザが黄身をつっている。

なぜ、黄身をハンモックのように、つる必要があったのか?

それは、黄身を潰さないため。

卵が転がったりした時、黄身をつなぐカラザがないと、黄身は衝撃を受け、傷ついてしまう。

カラザは、その揺れを吸収し、黄身を中央に保つことによって、傷つけないようにしている。

黄身には、「胚」というヒヨコになる部分があるが、

この胚が傷つくと、その卵はふ化しない。

そこで注目すべきなのは、カラザのねじれ。

割った卵を見てみると、黄身の上に胚がある。

このねじれにより、卵が動いても、バネのクッションのように、卵黄の揺れを抑え、

卵黄の表面にある胚が、常に上に位置するように、回転する構造になっている。

胚が常に上にあることにより、親鳥が卵を温める際に、

熱が伝わりやすくなり、

ヒヨコになる胚の成長を促す効果がある。

他にも、カラザは、黄身をウイルスや細菌から守る役割もある。

卵の殻には、「気孔」という小さな穴が1万個近くあり、

そこから卵の中に酸素を取り入れ、逆に炭酸ガスを出す、いわば呼吸を行っている。

しかし、その穴は、ウイルスや細菌の侵入口。

カラザがないと、卵が転がったりした時に、黄身が殻にくっつき、ウイルスや細菌に感染してしまうおそれがある。

そのため、カラザは黄身を中心に安定させ、細菌に感染しにくくしている。

つまり、カラザとは、ヒヨコになる部分の胚を常に卵黄の上に保ち、ウイルスや細菌に感染しないようにする、まさに命綱。

ちなみに、食べる前に取り除いている人も多い、このカラザには、驚くべき栄養素がある。

それはシアル酸で、脳を活性化し、免疫力を高める効果もある。

インフルエンザの予防にもなるといわれている。

免疫力を高めるシアル酸は、肉や魚、野菜にはほとんど含まれておらず、卵や牛乳に多い。