干物が腐りにくいのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/06/30】

生魚は腐るのに干物が腐りにくいのはなぜ?という話がありました。


これについて、魚の食品加工に詳しい、平塚聖一 先生(東海大学 教授)が説明していました。

干物が腐りにくいのは、自由水が少ないから。

実は、魚などの食品の中には、2種類の水が含まれる。

食品の中には、タンパク質などの成分としっかりくっついて動かない「結合水」と、

その周りを自由に動き回る「自由水」の2種類が存在する。

魚などの食品が腐るのは、水の中で微生物が繁殖するから。

この微生物は、結合水では繁殖できない。

結合水は、タンパク質に完全にくっついているため、微生物はその水を使って生きていくことができない。

一方、自由水は、微生物にとっては大好物。

何かにくっついているわけではなく、離れているので、簡単に、その水を使って繁殖できる。

干物が腐りにくいのは、生魚より自由水がすくなるから。

例えば、魚のアジをさばいて、塩水につけることで、アジの中に塩が入っていく。


そうすると、塩の成分と自由水がくっついて、動かない結合水になる。

つまり、自由水が減る。

さらに、浸透圧も関係する。

アジの中の水分と、外の塩水では、塩水の方が濃度が濃くなる。

濃度が違う液体が隣り合わせていると、同じ濃度になろうとして、薄い方から濃い方へと水がどんどん出ていく。

塩水につけることで、中と外の塩分の濃さが同じようになるように、アジの中の水分が外に出ていく。

この時に出ていく水分は、自由水だけ。

その結果、アジの中の自由水がさらに減っていく。

つまり、塩水につけることで、アジの中はどんどん乾燥していく。

魚を干すと表面から乾燥して、自由水だけが抜けていく。

塩水につけて減ったアジの中の自由水は、干すことでさらにどんどん減っていく。

微生物が生きていくために必要な自由水がなくなる。

だから、干物にすると腐りにくい。