なぜ野球は全員帽子をかぶっているのか?という話がありました。
サッカーやラグビー、バスケットボール、ゴルフ、テニスなどでは、かぶらないのになぜ?
これについて、20年以上、野球帽やユニフォームの歴史を研究している 綱島理友さんが説明していました。
実は、「試合中、野球帽をかぶらなければならないというルール」はない。
野球をする時に、帽子をかぶるのは、全員同時に帽子を脱いでいるチームがまだないから。
アメリカ、メジャーリーグのルールを参考にして作られている日本の「公認野球規則」を見てみると、
選手のユニフォームに関しては、
「同一チームの各プレーヤーは、同色、同形、同意匠のユニフォームを着用し、・・・・」とある。
「(打撃・走塁時)ヘルメットは必ずかぶらなければならない」とあるが、野球帽の着用は義務付けられていない。
そのルールを厳密に解釈すると、野球帽はユニフォームの一部と考えられるので、
チームの誰か一人が野球帽を脱いで試合に出ると、ルール違反になるが、
全員が帽子を脱いでいれば、これは「同一のユニフォーム」になるので、問題はないということになる。
しかし、必ず野球選手は帽子をかぶっているが・・・なぜ?
野球帽の始まりは、1840年代のアメリカ。
第1号の野球チームは、「ニューヨーク・ニッカボッカーズ」と言われている。
彼らが試合中、かぶっていたのは、なんと「麦わら帽子」。
記録によれば、青いパンツに白いシャツ、そして、日本でいう「カンカン帽子型」の麦わら帽子をかぶって、プレーしていたという。
当時は、外出する時、帽子をかぶるのは、エチケットとして当たり前の時代。
そのため、野球の試合でも帽子をかぶってプレーした。
その後、野球帽は「キャスケット型」や、
薬箱を意味する「ピルボックス型」、
現在の野球帽に近い「ブルックリン型」など、
より運動がしやすいカジュアルな形に変化を遂げ、元祖、二刀流、ベーブ・ルースが活躍し始めた1915年ごろには、ほとんどの球団が、現在の野球帽に形になった。
全員が帽子を脱いで試合をした野球チームは、歴史上あるのか?
ルール的には可能だが、記録にはない。
では、全員帽子を脱いでプレーすると、どうなるのか?
・外野フライがまぶしい
・髪の毛がチラチラ入るんでウザい
・締まりがなくなる感じがする、だらしなくなる
などの意見があり、
野球帽をかぶることは、機能面はもちろんメンタル面でも、そのメリットは大きいようだ。
ところで、ユニフォームは、なぜ全員同じでないとダメなのか?
こちらの絵をご覧ください。
様々なユニフォームを着た選手たちが描かれているが、彼らは同じチームの選手たち。
実は、1882年に、「各選手の守備位置によってデザインの違うユニフォームを着用する」というルールができたことがあった。
例えば、ピッチャーは青のシャツ、ファーストは紅白のストライプ、というように、ポジションごとに色や柄が決められた。
相手チームも全く同じデザインで、唯一の違いは、ストッキングの色だけだった。
今では当たり前となっている「背番号制度」が、まだなかった時代、観客がより選手を見分けやすくするためにできたルールだという。
ところが、このルールは、1シーズンももたずに廃止。
廃止の理由としては、ユニフォームの種類が多く、手間もお金もかかったり、
また、選手がどれを着ていいかわからなくなるなど、混乱を招いたためだった。
この失敗があったことで、1チームは同じユニフォームでなければならないという現在のルールができたと言われている。
結局、野球帽に関しては、現在でもチーム全員がそろって脱いでいれば、ルール上問題ないが、帽子をかぶらないチームは、これからも出てこないかもしれない。