アイロンをかけるとシワが伸びるのはなぜ?という話がありました。
これについて、川村康文 先生(東京理科大学 理学部 教授)が説明していました。
アイロンをかけるとシワが伸びるのは、繊維を構成する分子を整列させるから。
まず、「シワのない状態」のことから説明する。
例えば、私たちが着ている服。
綿の服は、これは糸からできている。
その糸は、繊維からできている。
繊維は、細長い分子からできている。
この細長い分子たちは、それぞれがくっついて繊維となっている。
シワのない状態とは、分子がくっつきながら、整列していることをいう。
この状態で、たたんだり、腕まくりをしたり、外からの力が加わると、
分子と分子の間がズレ、バラバラになってしまう。
これが、「シワになる」ということ。
いわゆる「折りジワ」や「たたみジワ」も、こうしてできる。
では、シワになったものにアイロンをかけると、なぜ分子が整列するのか?
アイロンの3つの要素がある。
1つは「スチーム」、それから「圧力」、最後に「熱で乾燥」。
アイロンのスチームを服に当てることで、水分を含んだ繊維が膨らみ、
分子同士のつながりが緩くなって、分子が動きやすくなる。
緩くなったところをアイロンの力で押さえつける。
すなわち、ローラーで、平らにする。
圧力をかけて均一に押しつぶすことで、分子が整列していく。
最後に、水をアイロンの熱で蒸発させて、水分を抜く。
そして、分子が整列した状態をつくる。
これで、アイロンでシワが伸びるということになる。
ちなみに・・・、
ワイシャツなど、シワになりやすい洋服がある一方で、
ジャージに使われているポリエステルやナイロンなど、最初からシワになりにくい洋服があるが、
これは、綿と比べて繊維分子の結びつきが強く、分子と分子の間がズレにくい構造になっているため、シワになりにくい。