ウナギがヌルヌルしているのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/07/28】

ウナギがヌルヌルしているのはなぜ?という話がありました。


これについて、ウナギの生態について研究している脇谷量子郎 先生(東京大学 大気海洋研究所 特任准教授)が説明していました。

ウナギのヌルヌルは、「ムチン」と呼ばれるタンパク質の一種。

これは、われわれの身近なもので、「なめこ」「オクラ」「山芋」などのヌルヌルもムチン。

ウナギのムチンの役割は、体を守る防御の役割だと考えられる。

ウナギは、岩の隙間の砂利の中に潜り込んで、暮らしている。

この時に、岩や砂利で体が直接傷つかないように、ヌルヌルが障害物から体を守ってくれている。

更に、重要な役割がある。

それは、滝を登る時に役立つ。

あるウナギは、多摩川の下流から約2500km離れたマリアナ諸島西側の海で生まれた。

幼い頃は、「レプトセファルス」と呼ばれる葉っぱのような姿。

レプトセファルス・・・生後0〜6か月のウナギの仔魚(体長0.5cm〜6cm)

黒潮に乗って、半年かけて、多摩川下流にやって来た。

海が近い「下流」は、面積が広くて住みやすいと考えられている。

あと、エサとなるカニやエビ、小魚なども豊富。

そのため、上流で暮らしているウナギより、下流で暮らすウナギの方が、成熟するスピードが早い。

つまり、早く遺伝子を残したいウナギにとって、面積が広くエサが豊富な下流は、一等地。

多くのウナギが、まず、下流で生活を始める。

しかし、一等地ではライバルが多く競争が激しく、毎年イキのいい若いウナギがやってくる。

成長に関して、勝ち組、負け組が発生する。

負け組のウナギは、3〜4年、川の下流で生活をする。

そして、よりライバルが少ない上流を目指して、滝を登るようなことがある。

滝つぼには、下流を追いやられた若いウナギたちの姿があった。

水の流れが速い本流を避け、登るのは滝の脇。

体がヌルヌルなので、当然スベる。

何度も何度も登るのを挑戦する。

全長、約15cmの細長い体をめいいっぱい伸ばして、段差を懸命によじ登る。

ここで、ひとつの疑問が・・・。

ウナギは水がない所でも呼吸ができるのか?

ウナギは、ヌルヌルのおかげで呼吸ができる。

多くの魚は、水をエラに通過させ、水中の酸素を体内に取り込む「エラ呼吸」を行う。

そのため、水がないと呼吸ができない。

一方、ウナギは、水中ではエラ呼吸を行うが、陸上では皮膚を覆うヌルヌルから酸素を取り入れる「皮膚呼吸」もできる。

小さい水たまりにウナギを放つと、陸上に出て移動することもある。

皮膚呼吸は、ヌルヌルが乾くまでの、約12時間、陸上生活が可能。

中には、46メートルの滝を登り切ったウナギもいる。

しかし、川を登った先が滝ならいいが、ウナギにとって最悪のケースが「ダム」がある時。

凹凸が少ない人工的な壁は登ることが非常に難しい。

上流に向かえず、最終的に死んでしまう個体もいる。

このダムが多く造られたことで、ウナギの生息地も狭まっている。

2013年、ニホンウナギは絶滅危惧種に指定。

現在、日本のウナギの食文化は「養殖」で保たれている。