田んぼに水を張っているのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2023/08/04】

田んぼに水を張っているのはなぜ?という話がありました。


これについて、上地由朗 先生(東京農業大学 農学部 教授)が説明していました。

日本にあるほとんどの田んぼには、水が張られているが、

その理由は、水を張るといいことずくめだから。

いいことは、大きく分けて3つ。

イネを寒さから守る

田んぼに水を張ると「いいこと」1つ目は、イネを寒さから守る。

イネを植え始めてから、しばらくの間は、グーンと気温が下がる時もある。

イネは、もともと、熱帯生まれの作物。

寒さには、そんなに強くない。

イネの種類や地域などによって異なるが、

日本で、イネを植えるのは5月。

それから、稲穂が出るまでの2〜3か月の間は、気温25℃以上で育てるのが好ましい。

極端に気温が低くなった時、田んぼに水が張られていなければ、

直接、寒さのダメージが襲いかかってきて、生育に支障が出ることが多い。

水を張ることで、その寒さからイネを守ることができる。

(しかし、水に浸かりっぱなしだと、逆に冷えてしまうような気もするが・・・)

実は、水は一度温まると、冷めにくい性質。

日中の間に水が温まり、

気温がグーッと下がった時でも、その温度をキープしてイネを守ってくれる。

気温が25℃以下を大きく下回ったとしても、水温はそれほど下がらず温かいまままなので、イネは寒さから守られる。

雑草が出にくい

田んぼに水を張ると「いいこと」2つ目は、畑に比べて雑草が出にくい。

田んぼに水を張っていると、土の中に酸素が行かなくなる。

酸素がなくても生きていける雑草は、ものすごく少ない。

一方、イネの茎には特殊な構造があり、根の方に酸素を送り込むシステムがあるから大丈夫。

イネの茎の断面を見ると、たくさん穴が開いている。

この穴から大気中の酸素を水中の根に送り込むことで、水に浸かりっぱなしでも、生きていける。

栄養豊富な土になる

田んぼに水を張ると「いいこと」3つ目は、栄養豊富な土になる。

一般に田んぼに張る水は、山から湧き出た川の水。

この水には、窒素、リン酸、各種のミネラルなど、肥料となる成分がたくさん含まれている。

それらを吸い込んだ土は、当然、栄養豊富。

栄養たっぷりの川の水で土が元気になるので、毎年同じ場所でも、安定してイネを育てられる。

他にもメリットがたくさん

田んぼに水を張ると「いいこと」は、他にもある。

田んぼの水が蒸発する時に、熱を奪って暑さを和らげたり、

雨水が、一時的に田んぼにとどまることで、洪水を防いだり、

急激に地下水が増えることなく、土砂崩れを防げたり、

田んぼに水を張ることはいいことずくめ。

水を張らなくても育つイネもある

畑で育てる「陸稲(りくとう)」という水を張らなくても育つイネもあるが、

ほどんどの所で、水田で育てる「水稲(すいとう)」を作っている。