電気自動車の話です。
電気自動車は、100%電気で走るため、二酸化炭素を出さず、温暖化対策として各国が普及を進めている。
しかし、電気自動車に充電する電気は、主に、火力発電で作られているため、二酸化炭素をたくさん出している。
果たして、電気自動車は本当にエコなのか?
これについて、土屋敏行さん(NHK解説委員)が説明していました。
今日は、電気自動車と、一般的なガソリン車を比較してみる。
まず、車を作る時に出す二酸化炭素を考えると、実はエコなのはガソリン車の方。
日本の大手自動車メーカーが、以前、試算したところ、作る時に出す二酸化炭素は、電気自動車の方が倍以上出ているという報告もある。
今は、日本でもだいぶ減ったりもしてきているので、そんなに差はないが、電気自動車の肝である大きな蓄電池(バッテリー)を作る時に、二酸化炭素を多く発生。
一方で、車が走る時、これについては、皆さんもご存じの通り、電気自動車の方がエコで、二酸化炭素を全く出さない。
(しかし、電気自動車は走るために充電する、その電気を作るのに、二酸化炭素を出しているのではないか?)
そこが、重要な問題。
日本は、電気を作る時に、石油、石炭、天然ガスを使っている比率が世界的に高い。
だから、電力で出る二酸化炭素は、ヨーロッパやアメリカよりも、日本の方が多い。
ところが、徐々に、日本でも、二酸化炭素を出さないものの方が増えてきている。
すると、走る時の二酸化炭素については、電気自動車の方がエコになっていくということになる。
では、作る時と走る時と合わせて全体の二酸化炭素の排出量は、どうなるのか?
作る時は、ガソリン車の方が、少ない。
しかし、走る時は電気自動車の方が、その電気を作る時のを含めても、少ないので、どこかで逆転する。
このグラフはヨーロッパなどが基準なので、約3万km3年ぐらい車に乗っていると、電気自動車の方がエコになる。
割と早め。
しかし、今の日本では、約10万km10年ぐらい乗らないと、電気自動車がエコにならないと見積もられている。
先ほどの話にあったように、徐々に電気を作る時の二酸化炭素を日本でも減らしているので、
これから買い替えることを考えると、電気自動車の方がエコになっていく、と言える。
(電気自動車の場合、充電する所が少ないのでは?)
そういう意味でいうと、ガソリンスタンドも各地で減っている。
特に、地方に行くと減っている。
実は、地方の方が電気自動車の普及率が高いという話もある。
電気自動車は、家で充電する。
だから、戸建て住宅が多い所の方が、設備が付けやすい。
去年(2022年)、東京都で新しい条例が出来て、新築の住宅には2025年度以降、太陽光パネルの設置が原則、義務化されたが、
新築のマンションなどには、一定台数分の充電設備の設置が義務化。
他にも、車が走りながら充電してくれる仕組みが開発されている。
交差点の近くやバス停など、車がスピードを落とすような所の道路の下に、電気を出すコイルを埋め込んでおいて、
その上を車が走ると、自動的に充電してくれるシステム。
2025年の大阪・関西万博で、電気自動車のバスを会場内外で走らせるが、
その充電に、このシステムを使おうと、開発が進んでいる。