あなたの不安なことって何ですか?
街の人に聞くと、
・息子に彼女ができるのか?
・老後のお墓
・来年から一人暮らし
・病気の再発
・会社が潰れないか
・老後の貯金
・就職活動で決まるか
・酒が飲めなくなる
などの意見があった。
ところで、「不安」って何でしょうか?
これについて、心理学や脳科学に詳しい堀田秀吾先生(明治大学 教授)が説明していました。
「不安」は、人類誕生から備わっている生き抜くための武器。
人類は、大昔から不安を感じ、不安に対して準備し、対処することで、有利に生き残ってきたと考えられる。
人間が狩りをして暮らしていた石器時代。
命をおびやかす存在や、様々な自然災害から身を守るためには、ちょっとしたことでも不安を感じ、
事前に危険を察知して、回避できた方が、生き残りに有利だった。
しかし、今は石器時代ではないのに、なぜ不安を感じるのか?
結局、私たちの心も体も石器時代から変わっていない。
狩りを中心とした生活をやめたのは、わずか1万年ほど前。
人類の長い進化の歴史からすると、1万年はほんと一瞬のこと。
生物は、ゆっくりと時間をかけて進化していくため、
この1万年の間、人間の心と体は、あまり変化しておらず、石器時代のころの危険を察知する本能が残っている。
不安は、現在でもピンチの際、行動を起こす準備を体にさせる。
不安になると、脳が刺激を受け、体から様々なホルモンを出すことで、
心拍数や血圧が上昇し、注意力が集中力が高まる。
そのため、危険に対する準備ができる。
これのおかげで、今では、急に襲われることはなくても、集中力が高まったりするので、
ピンチを乗り切るために役に立つと考えられる。
不安があるから、車が来たら注意できるし、仕事などでトラブルが起きないよう先のことを予測して準備ができる。
不安は、やっかいなものだと捉えられがちだが、不安の利点を知り、うまくつきあうことで、武器になる。
ハーバード大学の実験では、
「不安だ」と声に出したグループと、「わくわくしている」と声に出したグループに、
人前で歌を歌わせて比較してみたところ、「わくわくしている」と声に出した方が、
ピッチやリズムなどが、より正確で、良いパフォーマンスができた。
不安な時に、自分は興奮しているのだと脳をだますことで、すぐに不安を有効活用できる。
(”不安とは何か”については、現在も研究が進められているため諸説ある)