泡で汚れが落ちるのはなぜ?という話がありました。
これについて、泡に詳しい栗田玲先生(東京都立大学 理学部 物理学科 ソフトマター研究室 教授)が説明していました。
泡が汚れを落とすのは、泡がぎゅうぎゅうなところから逃げたいから。
(泡は、どちらかというと、「ふわふわ」のイメージだが、どういうことか?)
泡を顕微鏡で見てみると、よく分かる。
確かに泡のひとつひとつが、密集している。
この泡たちは、このように、ぎゅうぎゅうで不満で、本当はまん丸になりたい。
この、ぎゅうぎゅうにつまっていびつな泡が、丸くなろうとすることが重要。
「逃げ出したい」「解放されたい」という動きが、汚れを落とす。
満員電車をイメージすると分かりやすい。
確かに、どうにかして自分の居場所を確保したくなる。
実際に、見た方が分かりやすい。
用意したのは、食器用洗剤の泡。
そこに、汚れに見立てた青色の溶液を入れる。
すると、汚れに見立てた青色の溶液が泡に触れると、泡と泡の間に流れ込む。
その後、泡は丸く変形していく。
これこそ、泡が持つ重要な特性が引き起こす現象。
泡は、「常にまん丸でいたい!」という特性を持つ。
まん丸な時には、泡の中からの圧力が均一で、泡はご機嫌な状態ですが、
泡がぎゅうぎゅうに密集している時は、泡どうしが押し合い、いびつな形になる。
つまり、泡の中からの圧力が均一ではなく、とっても不満な状態。
そこに、油汚れがやってくると、間に入って、泡と泡の間の押し合いを弱める。
このように、泡が、まん丸の安定した状態になろうと、汚れを吸い込む。
汚れを落とす泡は、キメが細かいほうがいい。
その理由は、大きく分けて2つ。
1つ目は、泡どうしの押し合いが強い。離れようとする力が強い。
そのため、より多くの汚れを吸い取る。
実際に、大きな泡と小さな泡で、油の吸い取り方を比べてみると、
小さな泡の方が、素早く油を吸い取っていることが分かる。
2つ目は、泡が細かい方が、泡と泡の隙間の数が多くなるので、それだけ、汚れが入っていく道筋が多い。
より、多くの隙間があれば、それだけ、汚れを取り込むポイントが増えるので、汚れが落ちやすくなる。
(ちなみに、泡洗剤をゴシゴシこするのは意味がない?)
優しくこする分には効果的だが、激しくこすると、泡が壊れ、元も子もなくなるので注意。