風が吹くと「ビュービュー」というのはなぜ?という話がありました。
これについて、自動車の流体工学を研究している梶原伸治 先生(近畿大学 理工学部 准教授)が説明していました。
風が吹くと「ビュービュー」というのは、世の中に「丸いもの」が溢れているから。
電線や木の枝など、丸いものに風がぶつかり、生まれた音。
しかし、なぜ、そんな音が鳴るのか?
先生の研究室にある送風機を使って、実験。
円柱状の棒に、
風速10m/sの風を当てると、どうなるか?
それがこちら。
「ビュー」という音が聞こえた。
風が一定の速度で丸いものの方に流れ込むと、
物体の後ろに時計回りと反時計回りの空気の渦が、交互に出現する。
「カルマン渦」と呼ばれるこの渦によって、空気が素早く左右に揺れ、
その振動から音が出ている。
旗がパタパタと、はためているのもこれが原因。
丸い支柱に風が当たることで、カルマン渦が発生している。
ちなみに、バットを振った時の音や、縄跳びを回す音などもカルマン渦が原因。
ここで、ひとつ疑問が出る。
四角いものでも「ビュービュー」なるのか?
何も聞こえない。
角のある物体は、風が当たる方向が一定ではなく、大小さまざまな渦ができるので、規則正しい音が出ない。
さらに風の音は、ぶつかるものの形だけでなく、もう一つ影響を受けるものがある。
風速によって、音の高低や大きさも変わる。
こちらのカルマン渦周波数の数式を使うと、求められる。
簡単にいうと、「ビュー」という音は、風速や丸いものの直径で変わる。
風速が速く、円の直径が小さくなると、風の音は高音になり、
逆に、風速が遅く、円の直径が大きくなると、風の音は低音になる。
ちなみに・・・、
野球のナックルボールや、サッカーの無回転シュートの不規則な変化もカルマン渦の影響。
ボールの後ろでカルマン渦が発生し、ブレたり・落ちたり不規則に変化する。