なぜカーブミラーは丸いのか?という話がありました。
曲がり角など、見通しの悪い所に設置されているカーブミラーは、ほとんどが丸い形。
これは、なぜなのか?
これについて、道路や橋の構造に詳しい、高橋良和 先生(京都大学 教授)が説明していました。
カーブミラーが丸い理由は、ミラーに秘密がある。
ミラーを横から見ると、丸く出っ張った曲面になっている。
なぜ、曲面なのか?
曲面と平面のミラーを比較してみる。
ミラー手前から人物が近づいてくると、見え方にどんな違いがあるのか?
ミラーまでの距離が5mで、曲面には人物の全身が映っているが、平面には何も映っていない。
ミラーまでの距離が3mでも、平面に映っているのは左半身のみ。
ミラーまでの距離が1m前まで近づいても、平面には胸より上しか映っていない。
このように、曲面のミラーなら、人が遠くにいても近くにいても姿をしっかりと映し、
周りの景色も広く映る。
そのため、全てのカーブミラーには、曲面ミラーが使われている。
時々、角型のカーブミラーを見かけるが、これにも曲面ミラーが使われている。
しかし、一般の道路で使われている90%以上のカーブミラーは、丸型。
なぜ、丸型が多いのか?
これは、角型に比べ丸型の方が、近くも遠くも見られるから。
丸型と角型のミラーの見え方には、どんな違いがあるのか?
比較するのは、ほぼ同じ面積、そして、鏡面が同じ曲がり具合の丸型と角型のミラー。
それぞれのミラーの200m手前から、車を近づけていく。
丸型では、ミラーまでの距離144mで、車の先端が移り始めた。
ミラーまで63mで、車全体が映った。
さらに、その後も車全体が映り続け、ミラー手前3m55cmの所までは、車全体が映っていた。
一方、角型では、丸型で車の先端が映った140mの付近を過ぎた後も、一向に何も映らず、
先端が映ったのは、60m手前。
ミラーまで15mで、ようやく車全体が映ったが、
映っていたのは、丸型より約1m遠い4m70cmだった。
丸型は、左右の景色を映しつつ、上下の景色を広く映す。
これは、一般道路に設置されるカーブミラーに必要なこと。
坂の上から下りてくる車や、手前を歩いている人がいないか、など、近くと遠く両方を映せるのが丸型のカーブミラー。
一方、角型は、丸型より左右を広く映すことができるので、
すれ違う車に注意する必要がある駐車場などで、多く使われている。
ここで、ひとつ疑問が残る。
角型と丸型を重ねたような形にすればよいのではないか?
実は、カーブミラーには規格が決まっている。
日本道路協会によって、一般道路に設置できるカーブミラーは、
丸型3サイズ、角型2サイズ、と決められている。
それに、大きくすれば、それだけコストがかかるし、風の影響も受けやすくなる。
いびつな形のミラーは景観を壊す。
そこで、できるだけ小さく、でも効果的に上下左右を映すことができるのが、丸型のミラー。
ちなみに、たまに、真上にミラーを見かけることがあるが、
これは、峠の向こう側に止まっている車を見やすくするために設置されている。
事故や積雪によって、停車している車を早く確認するため、下向きに設置されている。