硬貨が古くなると光らなくなるのはなぜ?:チコちゃんに叱られる!【2024/03/08】

新品の硬貨はピカピカなのに、古い硬貨は光っていない。


なぜだろうか?

これについて、川村康文 先生(東京理科大学 理学部 教授)が説明していました。

硬貨が光らなくなるのは、電子が動けなくなるから。

いったい、どういうことか?

例えば、現在の五百円玉は、2色に分かれている。

実は、それぞれ違う素材で出来ている。

外側のリングは「黄銅」といって金に近い色の銅。

内部の「コア」という部分は、白い銅と内部に銅が使われている。

つまり、ほぼ銅で出来ている。

新しく出来た五百円玉は、ピカピカ。

五百円玉をものすごく拡大すると、銅の小さな粒である「原子」がたくさん並んでいる。

その周りで動き回っているのが「電子」。

電子は、光に当たると、

一旦、全部を吸収してしまう。

そして、その直後、すぐに光として放出する。

光をはね飛ばす性質がある。

金属の中で動き回っている電子の中でも、表面にあるものは、光をどんどんはね返す。

その結果、私たちの目には、ピカピカと光るように見えている。

では、なぜピカピカではなくなってしまうのか?

それを邪魔するものが出てくる。

それが「酸素」と「水」。

金属が濡れたり、水分に触れると、

一部の銅の原子が水に溶け込み、

電子もそれに引っ張られていく。

その水の中には、酸素の原子が存在している。

金属は、水に触れると、酸素と結びつきやすくなる。

酸素と結びついてしまうと、

酸素の原子は電子をつかまえて離さないので、電子が自由に動けなくなってしまう。

その後、水が乾いた後も、電子は動けない状態。

結果、光を十分にはね返せない。

このように、酸素とくっついてしまった金属は、「酸化物」と呼ばれる物質になり、

電子が動けなくなってしまうので、光をはね返す性質を失って、光らなくなる。

実は、これが一般的に「サびる」と呼ばれる現象。

「サビ取り」は、酸化物を取り除いて輝きを取り戻す。