謎の「催眠術教授書」:探偵ナイトスクープ【2024/03/22】

催眠術の本の話です。

依頼内容

とある奇妙な本について、ご依頼差し上げます。
先日、滋賀の実家の本棚を整理している時に、明らかに古い本を発見しました。
背表紙のタイトルは、「催眠術教授書」となっており、その下には、
なんと著者として、私のひいひいおじいちゃんの名前が書いてありました。
本を開くと、何やら催眠術にまつわる内容が記されておりましたが、
この本が一体何なのかは、よく分からないままです。
そこで探偵さんにお願いです。
この本について是非調べて頂き、そして、本に書いてある催眠術を
一緒に試してもらえないでしょうか。ご協力お願いします。

調査開始

こちらが、その「催眠術教授書」。

背表紙に、タイトルが書かれている。

依頼者の女性によると、

ひいひいおじいちゃん(大野吉太郎)は、

明治5年(1872年)生まれで、昭和30年(1955年)に亡くなっている。

鍛冶屋をしていて、催眠術を兼業していたという。

近所の小さい子のおねしょを催眠術でなおしたり、

近所の困りごとを解決していたらしい。

本の背表紙の下の方には、「大野吉太郎」と、

ひいひいおじいちゃんの名前が書かれている。

この本には、催眠術の歴史や、催眠術師の心得について書かれている。

一体、どこから出版されていたのか?

この本について、専門家に聞いてみることになった。

催眠術史研究者の栗田英彦先生によると、

大正時代の初めに大阪に「帝国神秘会」という団体があり、

当時は郵便が発達していて、催眠術の通信教授(通信教育)をしていた。

本の背表紙の上の方をよく見ると、確かに「帝国神秘会」と書かれていた。

下の方に名前が書いてあったのは、著者ではなく、そこの会員だったから。

会員が、通信課程の修了の証として、自分の名前入りの本をもらっていたのではないかという。

この本には、「心力波及術(りんりきはきゅうじゅつ)」が書かれていた。

これを覚えないと催眠術ができないらしい。

書かれていた技の一覧がこちら。

「實地慶用(じっちけいよう)」・・・泣いてる子を泣き止ませる

依頼者は歯をくいしばり、泣いてる子をじっと見つめると、泣き止んだ。

「心の持ち様(こころのもちよう)」・・・信じる力

依頼者は、自分は催眠術が得意になるという催眠をかけてもらった。

「遠距離催眠法」・・・遠くの人に術者の念じたことを実行させる

依頼者は、遠くの電話相手に「ラーメンが食べたい」と思わせた。

「足止術」・・・大声で人の動きを止める

依頼者の彼氏が向かってくる時に、大声で「止まれ」と叫んだが、何かの冗談かと思った彼は止まらず近づいてきた。