なぜバスケットボールの得点は2点なのか?という話がありました。
これについて、バスケットボールをはじめ、スポーツの歴史に詳しい、
谷釜尋徳 先生(東洋大学 法学部 教授)が説明していました。
バスケットボールの得点が2点になったのは、
試合中にファウル(反則)をすると、相手に得点が入るようにしたら、ややこしいことが起きたから。
1891年、アメリカでバスケットボールが誕生。
現在、バスケットボールの得点は、シュートが2点。
相手から受けたファウルなどで与えられるフリースローが、1本1点。
そして、3ポイントラインの外側から放つ、3ポイントシュートが3点というルール。
一方、当初の得点は、シュートが1点。
そして、どちらか同じチームが連続で3回ファウルをすると、
相手に1点が入るというルールだった。
問題は、ファウルによる得点が増えすぎたこと。
これには、当時のルールが関係していた。
例えば、
・当時のルール第9条
「ボールがコートの外に出た場合、最初にそのボールを保持した選手がスローインの権利を得る」
とある。
ボールがコートの外に出た場合、
現在のルールでは、相手チームのスローインでゲームが再開されるが、
当時のルールでは、最初にボールを保持した選手がスローインの権利を得るので、
敵味方関係なく、ボールの奪い合いが始まり、相手を押したり掴んだり叩いたりと、コートの外でもファウルが続出した。
さらに、新しいスポーツだったバスケットボールは、
シュートの技術が未熟で成功率も低かったため、
わざとファウルを誘い得点を狙うケースもあった。
その結果、シュートによる得点ではなく、
ファウルによる得点で、試合の勝敗が決まってしまうという事態が続いた。
これでは、本来、シュートで得点を競うバスケットボールの面白みが失われてしまう。
そこで、1893年、ルール改正が行われ、シュートの得点を1点から3点に変更。
さらに翌年(1894年)には、3回連続ファウルで、自動的に1点が入るルールを廃止。
そのかわりに、ファウル1回ごとにフリースローが与えられ、これが成功すれば、3点とした。
つまり、シュートの得点を3倍にして、その価値を高め、相手のファウルに頼らず、フリースローで得点する仕組みを作った。
しかし、シュートの成功率は依然として低く、ファウルによるフリースローの得点が多くなる傾向があった。
そのため、フリースローの得点を3点から1点に下げることにした。
相手のディフェンスをかわして、やっと得点ができるシュートと、誰にも邪魔されずに得点できるフリースローが、
同じ3点というのも不公平感があったのかもしれない。
ということで、シュートは、そのまま3点、フリースローが1点に下げられた。
すると今度は、1点にしたフリースローに比べて、シュートの3点が重すぎるという批判が噴出。
最終的に、シュートの得点は重すぎず、かつ、フリースローで試合が決まることを避けるために、
フリースローより1点高い2点になった。
こうして、約10年かけて、2点となり、3ポイントシュートも加わり、現在のルールが定着している。