「数学的思考法」の話です。
6羽のスズメが1羽ずつ等間隔の6本の木にとまっている。
1羽のスズメが、別の木に飛んでいくと、
別の1羽のスズメが、逆方向に同じ距離だけ飛ぶ。
例えば、
1羽が【1番の木】から【3番の木】へ飛べば、
別の1羽が【6番の木】から【4番の木】へ飛ぶ。
このように飛び交う6羽のスズメが、
全て同じ1本の木に、集まることはできるか?
【さぁ、みんなで考えよう!】
「この6本の木にスズメがどのように分布しているか」を表現する「数」を使う。
それぞれの木の番号を「住所」とする。
最初の住所の合計は、21となる。
では、次の2つの木にとまっている6羽のスズメの住所の合計はいくつか?
0 + 0 + 9【3(羽)x3(番)】+ 12【3(羽)x4(番)】+ 0 + 0 = 21
住所の合計は、21となる。
次に、1回だけスズメを動かしてみる。
【3番の木】から【2番の木】へ
【4番の木】から【5番の木】へ
0 + 2【1x2】+ 6【2x3】+ 8【2x4】+ 5【1x5】+ 0 = 21
こちらも、住所の合計は、21となる。
さらに、もう一度スズメを動かしてみる。
【2番の木】から【1番の木】へ
【4番の木】から【5番の木】へ
1【1x1】+ 0 + 6【2x3】+ 4【1x4】+ 10【2x5】+ 0 = 21
こちらも、住所の合計は、21となった。
スズメの住所の合計は、21で変わらない「不変数」なのか?
証明してみる。
まず、移動する前の6羽のスズメの住所の合計を「X」とする。
X = 0 + 0 + 9【3x3】+ 12【3x4】+ 0 + 0 = 21
となる。
次に、移動する2羽のスズメを「i」と「j」で表すと次のようになる。
この式を解くと、Xとなるので、
Xはスズメの移動に関して「不変である」ことが証明された。
ここで、問題に戻る。
仮に1本の木に6羽が集まれたとする。
木の番号を「k」とすると、
X=6k=21とならなけらばならない。
しかし、k=3.5と少数になるが、木に3.5本はなく、
6k=21 を満たす整数kは存在しないので、
今回の場合、6羽が1本の木に集まることはありえない。
つまり、「できない」が答えとなる。
このように、不可能を証明した。
ちなみに、スズメの数や初めにとまっている位置が違えば、
6羽が1本の木に集まることがある。
例えば、初めの位置を次のようにすると、
先ほどの式は、6k=24 となり、k=4になる。
つまり、4番目の木に6羽が集まることができる。
最初に、どのようにスズメが分布しているか、
この「初期値」に依存する。