ここに、白い磁石がついたブックエンドがある。
そこに、テーブルに固定した糸をくっつけたクリップを近づける。
磁石とクリップの間には、わずかな隙間がある。
この隙間に、何かものを入れると、クリップは、下に落ちてしまいそう。
ここに、スプーン、カッター、定規、文庫本がある。
このうち3つは、その隙間に入れても、クリップは落ちない。
まずは定規。
クリップは、落ちない。
次に、文庫本。
クリップは、落ちない。
次に、スプーン。
クリップは、落ちない。
最後に、カッターを近づけると・・・、
クリップは、落ちた。
糸で机につけられたクリップが浮いているのは、
磁石から生じる磁力が少し離れた所まで届いているため。
この磁石による磁力は様々な素材をすり抜けて、影響を及ぼす。
そのため、アクリル性の定規や文庫本を入れても、
磁力がすり抜けて働いているので、クリップは落ちなかった。
しかし、磁力がすり抜けられない素材がある。
それが、「強磁性体」と呼ばれる素材。
簡単に言うと、磁石に強くくっつく素材で、
磁力が通過せずに、素材の中を通る性質がある。
実はカッターは、先の4つの中で、唯一磁石にくっつく。
つまり、強磁性体。
なので、クリップと磁石の間にカッターを入れると、
磁石から出る磁力は、カッターの中を通ってしまう。
これで、クリップには磁力が届かなくなるので、落ちてしまった。
ちなみに、ご家庭にあるスプーンのほとんどは磁石につかない。
なので、このスプーンを間に入れても、クリップは下に落ちない。