ここに、「カッターマット」と「取っ手」がある。
カッターマットには、2つの穴が空いている。
そこに、取っ手の穴を合わせて、ネジで2つを固定する。
これで、カッターマットに取っ手が付いた。
この取っ手をつかんで、カッターマットを持ち上げようとすると、
思い切って引っ張っても、持ち上がらない。
では、横から両手で持ち上げてみると・・・、
簡単に持ち上がった。
しかし、取っ手をつかむと持ち上がらない。
カッターマットの裏を見ても、
先ほどのネジがあるだけで、特に細工はない。
今度は、座っている椅子にカッターマットをペタっとつけて、
そのまま引っ張ると、椅子が持ち上がった。
これは、一体、何が起こっているのか?
実は、私たちの周りにある空気にも重さがあり、
その重さによる圧力が働いている。
これを大気圧という。
例えば、1平方センチメートルの上に載っている空気は、約1kg。
なので、このカッターマットの上には、少なくとも、約260kgもの空気が載っており、
この重さで、カッターマットは押されている。
これを持ち上げるには、実は大変な力が必要だった。
では、なぜ、横からはすんなりと、持ち上げることができたのか?
大気圧は、上から下だけではなく、あらゆる方向に働いている。
横から両手でカッターマットを持ち上げた時には、
カッターマットが湾曲し、僅かな隙間から空気が入り込んだ途端に、下からも大気圧が働くため、簡単に持ち上げることができた。
今度は、目の前に、水入りのペットボトルが3本入った箱がある。
その重さは6kg以上はあるので、けっこう重たい。
その箱の側面に、カッターマットをペタッと押し付けて、そのまま引っ張ると、箱が動いた。
こんなに重たいものでも、ピタッとくっつけて動かすことができる。
このような大気圧は、横方向にも働いている。