なぜ夜にオシッコが出るのか?という話がありました。
ある男性2人は、1日で同じ食べ物の量と同じ水分を摂取した。
その日の2人のオシッコの量がこちら。
夜寝るまで、Bさんに比べると、Aさんのオシッコの量はとても少なく見える。
でも、実は、Aさんは夜の就寝中にオシッコに行く回数が多かった。
これは、医学的に「夜間頻尿」と呼ばれる症状。
しかし、寝る前のオシッコの量を比較してみると、
エコー撮影で、2人ともオシッコがたまる「ぼうこう」の大きさは変わらなかった。
では、夜中のオシッコの水分はどこからやってきたのか?
実は、なんと「ふくらはぎ」。
Aさんのふくらはぎの太さ【周囲(cm)】を測定すると、朝に比べて寝る前の方が太くなっていた。
本当に水がたまっているのか?
こちらのフィットネスジムにある体重計のような機械「体成分分析装置」。
これで全身の水分の状態が分かる。
しかも、腕も右や左、そして体幹の部分、脚も右左、いろんな所に分けて測定してくれるという。
これで、Aさんの体の部位別水分量をはかると、
腕や胴はそれほど変わらないのに、足だけは右肩上がりに上がっている。
このように、足にどんどん水がたまっていっている。
実は、ふくらはぎを含む足には、水をため込むタンクがある。
足をエコー撮影してみると、皮膚と骨の間に黒く写っているところが何カ所かある。
これがたまった水分で、たまっているのは「間質」と呼ばれる細胞と細胞をつなぐ結合組織の中で、緩衝材の役割をしているところ。
でも、通常の状態の足(水分がたまっていない状態の足)は、この間質という部分はとても薄くて少ない。
このふくらはぎにため込んだ水分が、夜間頻尿を引き起こす大きな原因だった。
今、泌尿器科の医師もこの水分に大注目していて、診察でチェックすることもあるのだという。
足に靴下のあとが残ったり、200〜300ccくらいは、片足に体液がたまると言われている。
なぜ、足に水分がたまるのか?
全身を巡る血液は、心臓やふくらはぎの筋肉がポンプの役割を果たし、循環させている。
水を飲むと、胃や腸で吸収された水分が、一旦は血液の中に入る。
この時、私たちの体は水分の量を常に一定に保とうとするため、増えた分の水分をオシッコに変えて、ぼうこうにためる。
でも、Aさんのように夜のオシッコに悩む方は、主に加齢が原因でポンプの機能が衰えている可能性がある。
そのため、同じように水を飲んでも、血液を下から上に押し上げる力が足りない。
血管から水分が漏れ出し、ふくらはぎの間質になってしまう。
この状態で夜寝ると、重力の影響を受けなくなったことで、間質にたまった水分が再び血管に。
そして、増えた血液を減らすために、どんどんオシッコが作り出されてしまう。
夜オシッコのために起きると、年寄りは、暗くて、つまづくことも多い。
そのため、骨折するリスクも増え寝たきりの原因になることもある。
夜間頻尿の対策は?
1:「ストッキング」。
弾性ストッキングをすることで、足の外側から圧力をかけ、ふくらはぎに水をたまりにくくする。
つまり筋肉の補助。
これを日中に使用することで、昼間の尿量が増える。
2:「足上げ」
30分間の「足上げ」をすることで、ふくらはぎの水分が血管に戻り、日中にオシッコになる。
3:「減塩」
塩が体内に入ってくると水分をとりやすくなる。
塩分が入ると血圧が上がりやすくなる。
余談:「晩酌」
晩酌は、夜間頻尿には、あまりよくない。
アルコールは利尿作業があるのと、塩辛いつまみが多いので体に水分を引き込みやすい。
喉が乾いて飲みたくなる。
そのため、夕方以降に塩分を取りすぎると、夜間頻尿になりやすい。