平成26年度、千葉県の人口650万人に対して、地方税滞納額は「282億円」。
もちろん、経済的な理由により税金を納められない人もいるなか、
お金があるにもかかわらず税金から逃れる悪質滞納者もいるといわれます。
そんな悪質滞納者からお金を徴収する部所が千葉県庁にあります。
「千葉県県税特別徴収対策本部」、通称「税金Gメン」。
彼らの仕事は、何度督促を受けても応じない悪質滞納者から税金を回収すること。
そのため、法律にのっとり、滞納者の関係先を家宅捜索し、財産を差し押さえる権限を持っているのです。
家宅捜索開始
午前7時半に、税金Gメンが向かった先はこちら。
捜索対象者
・千葉県在住60代男性
・石油販売業者
・9年間に渡り、「軽油引取税」滞納
・滞納額は、1600万円
再三の支払い請求を拒否したため、家宅捜索することになった。
家宅捜索するために向かったGメンの人数はなんと、「65人」。これは「千葉県内過去最大規模」です。
自宅の他、会社事務所など、3か所の捜索に向かいます。
Gメン「県税事務所です。朝早くからすみません」
滞納者「何しに?」
Gメン「滞納されている県税の件で来ました」
滞納者「うんうん」
Gメン「今日現在まで1600万円ほど滞納しているので、今日それをお支払いいただけるか?」
(突然のGメンの訪問に戸惑う男性)
滞納者「今日だからさ少しずつ払うって言っているんだよ」
Gメン「それはもうちょっとできない」
Gメン「今日全て払っていただけなければ、捜索に着手せざるを得ない」
滞納者「うちだって困っちゃうんだよねー、あんまり(お金が)無いんだもの」
あくまでも家には金は無いと言い張る滞納者
Gメン「これから国税徴収法の規定に基づき捜索を開始します」
自宅に、「総勢26人のGメン」が入っていきます。
家の中には突然のことに戸惑う妻の姿もあります。
滞納者の妻「何かしら、何で・・・、もう貧しくやっているのに」
Gメンは税金に充てられる現金・お金になるものを探し、部屋の隅々まで捜索します。
事情聴取
捜索と平行して行われる滞納者への事情聴取
Gメン「あるもの全部出してくれる?全部きょう出してもらうよ悪いけど」
Gメン「現金あるならあるだけ全部出してくれる?」
Gメンによる内偵調査で、捜索の日滞納者が銀行に振り込む多額の現金を持っていることを突き止めていた。
必ずどこかに現金がある、そう確信しGメンは早朝の捜索に踏み切ったのです。
見つかる大金
Gメン「とりあえず、今捜索だから「知らない」で座ってるじゃいかないから」
滞納者「支払いはだからね・・・それだけは取ってある」
Gメン「それはどこにあるの?」
Gメン「それが無いかどうかというのを見させてもらう」
滞納者が向かった先はなぜかトイレ、窓際から大量の札束を取り出した。
滞納者「ここに置いたよ、だっておめぇらが来るって言うから」
滞納者「だって今日支払う金だよ」
Gメン「誰に支払うの?」
滞納者「油屋さん」
商売の支払いに使う金だと主張する男性、机いっぱいに並べられ数えられるお札の束。
滞納者「700万くらいある」
Gメン「700万円位支払えるの?フーン・・・」
滞納者が持っていた現金、その額なんと「770万円」。
他人のお金と主張
これ以上のお金は無いとようやく支払いに同意したと思われたその矢先、突然滞納者はその主張を変え、
滞納者「これ頼まれてるの!俺のお金じゃないの!全部」
Gメン「これは(自分の)お金でしょ?」
滞納者「違うよ、人の金なの、友達に預かってきたの今日これを」
滞納者「よその人のお金だからね、俺知らないよ持って行ったって」
「国税徴収法」によると、捜索対象の家で見つかった現金は滞納者のものとして差し押さえられる。
滞納者「いつ返ってくるの?」
Gメン「税金滞納してるわけでしょ」
滞納者「滞納じゃないよ、俺のお金じゃないよ」
Gメン「要するに滞納したお金を税金に充てさせてもらう」
滞納者「だって人の金だよ?」
滞納者の妻との攻防
同時にGメンと滞納者の妻との攻防もおきていた。
滞納者の妻「見るったって、下着だとかボロだとかいっぱいあるでしょ。恥ずかしいでしょ」
この妻の動きに不自然な点が、押し入れから衣装ケースを取り出そうとすると、
Gメン「いいですよ、手を離して」
なかなかケースから手を離そうとしなかったり、ケースに覆いかぶさったり、自らケースを押し入れに戻そうとします。
滞納者の妻「いいですよ、そのままで」
そんな不自然な動きを女性Gメンは見逃しませんでした。
Gメン「この黄色い袋は何ですか?」
滞納者の妻「これはね・・・」
滞納者の妻「えー、まってー、こんなに細かく全部みんな調べなきゃいけないの?」
Gメン「一応一通り見させていただきますので」
滞納者の妻「見せなきゃしょうがないってそんなのウソだよ」
滞納者の妻「何でこんなことになっちゃうのかなー」
滞納者の妻「やだこんなの持ってかないでよ、持っていったらどうするの?暮らせないでしょ?」
黄色い袋から出てきたのは厚みのある札束だった。
滞納者の妻「悔しいよ、そんなのないでしょ、悔しいよ、こんなの」
Gメン「お母さん悔しいってことじゃない」
滞納者の妻「悔しい悔しいやだ、だってお客さんから集めたお金だし」
滞納者の妻「うちの何もかもってばかな話は無いでしょ?」
滞納者の妻「そんなばかな、無い無い無い無い無い無い無い無い無い・・・」
およそ20分後、ようやく落ち着きを取り戻し、
Gメン「1,2,3,・・・」
滞納者の妻「数えなくたって束ねてあるから100(万円)よ、それ」
滞納者の妻「私のばかりそんなにしないでしょ、なんで私、お父さんと関係ないでしょ?」
床に並べられたお札の山。
妻の部屋から見つかったのは、現金およそ「330万円」でした。
差し押さえられたもの
この日行われた捜索は10時間にも及び、結局自宅から合計「1100万円」を差し押さえ。
さらに関係先の捜索で、「タンクローリー2台」と、「軽自動車1台」などを差し押さえ。
捜索は終了しました。
千葉県では、こういった悪質な税金滞納を決して見逃さないということです。
後日談
差し押さえ3日後の滞納者の意外な行動とは?
お金がないと言っていた滞納者は、滞納額不足分「約500万円」を現金で納付しにきました。
そしてタンクローリーを取り戻して帰ったということです。
タンクローリーがないと仕事にならなかったのではないかと見られています。
資産がない場合はどうなるの?
不動産があれば競売にかけられますが、全く資産がない場合は払わなくて済むそうです。
お金があると確信して、Gメンは踏み込むと思いますが。
悪質滞納者はどれくらいいるのか?
悪質滞納者の数は、「全体の1%」、残りの99%の人は、払いたいが払えない人だということです。
ただ金額にすると多いかもしれません。