漫画キングダムの作者、原泰久さんの特集をしていました。
曲を聞きながらの作業
作業中には集中するために音楽を聴く。
お気に入りはガンダムシリーズの名曲、「MOBILE SUIT」。
これを聴いて、1話、18ページ分の漫画のイメージを膨らませる。
ガンダム好きは、3人兄弟の2人の兄の影響があった。
史実は曲げない
紀元前の中国を描くキングダムは歴史書「史記」を元にしている。
実のところ手がかりとなる書物がこれしかない。
原「始皇帝なら知ってるなっていうくらいだったんですよ、知識的に。
でも、(清は)どうやって統一したんだっけ?というのからコレ買って。」
物語は作者の創作だが、史実を曲げるわけにはいかない。
だから繰り返し史記を読み込んだ。
けれどそこには、読者に人気の「王騎将軍」に関しては、たった一行しか出てこない。
情報量が少ない方が、作者にとっては、ドラマを作り込みやすくなるという。
信は羌瘣と結ばれる?
こちらは、追っ手が迫る中、信(シン)が羌瘣(キョウカイ)を助けるシーン。
敢えて密着するように書いたという。
原「例えば、このような形が場面場面で出てきて、信と羌瘣の2人が結ばれることがあるとするならば、こういうシーンを散りばめれば伏線になるし・・・。」
井上雄彦が心の師匠
作業中、集中力が途切れそうになると、決まって井上雄彦の漫画を読む。
デビュー直前、原は井上の元で修行させてもらっていた。
以来、井上は原の心の師となった。
↓こちらは、井上雄彦が原泰久に送ったメッセージ。
キングダムは今がんばり時のようだね。がんばれ〜
特別な作品、作家になりたいのか、それとも普通の作品、作家でいいのかの覚悟のほどを今問われているということでしょうな。
連載当初、打ち切りの危機に陥った時、井上は原にたった一つのアドバイスをくれた。
井上「目の黒目がちっちゃい。主人公の目だから大事に描いて、目で感情をうったえるなり伝えるような、目をしっかり描きなさい。」
その教えに従うと人気が上昇。今では目を使った感情表現が原の得意技ともなった。
優秀なアシスタント
原は現在8人のアシスタントをかかえている。皆、将来漫画家を夢見る若者たちだ。
競争の激しい世界だが、原の事務所からはこれまで4人ものアシスタントがデビューを果たしている。これは異例の多さだ。
優秀な人材は手放したくない、だが、これを良しとしない。
師匠の井上が自分の背を押してくれたように、自分は次の若手の背を押してあげたい。
ただその分、アシスタントに求める絵のレベルは高いものだった。
アシスタントはすぐに原の意図を理解しないと務まらない。
映画のような漫画
とあるワンシーンでは、
「ここを明るくして、周りを暗くなるようにしてとか、写真的に見せるようにして、漫画としても見せやすくする」。
例えばこのシーン、
1人1人の重心を変えている。
原が意識するのは映画のワンカットのような漫画だという。
オススメの映画
ちなみに、原が薦める映画はこちら。
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漫画家になるまで
漠然と漫画家になりたいと思ったのは高校生の時だった。
↓こちらは、受験勉強をしながら、折込チラシなどの裏に描いた絵。
大学卒業後、電機メーカーに就職、サラリーマンの生活は楽しかったが、漫画家の夢は捨てきれず、これという見通しもないまま27歳で会社を辞めた。当時、原を励まし続けてくれた恋人が今は妻。
キングダムの今後
愛読者にバラしてしまうと、このままのペースでいくとキングダムはあと10年は続くという。