脅威的なエネルギーで突然襲いかかる「カミナリ」。実は冬の雷は夏の100倍ものエネルギーを放つこともあるのです。
冬に日本海側で多発する雷は「一発雷」とも呼ばれ膨大なエネルギーを放つため危険です。
今、都市部の超高層ビルで新たなリスクが浮かび上がってきました。
以下は、カミナリによる被害の写真です。
↓高層ビルの屋上に雷が直撃、コンクリートが地上に落下しました。
↓都心の一等地に建つ高級ホテルでも、高さ200m、屋上の一部が粉砕され、1階まで落下しました。
雷は避雷針ではなく、屋上超高層ビルの外壁などを直撃。
コンクリートの塊などが凶器となって、地上を襲う事態が相次いでいるのです。
高層ビルの雷被害を受けたビルを調査したところ、明らかになった建物は全国で少なくとも10棟。
その内9棟が、高さ100m以上の超高層ビルでした。
雷は巨大な電流を一気に放出します。そのエネルギーは、固いコンクリートも一瞬で粉砕します。
都市部で建設が相次ぐ超高層ビル、避雷針を備えていますが、実はそれだけでは被害を完全には防げないのです。
高さ20mを超える建物には避雷針の設置などが法律で義務付けられています。
しかし、高層ビルの場合、離れた場所の雷が横からも襲ってくることがわかりました。避雷針だけでは防げず、屋上の角や側壁が被害に合うのです。
東京都庁も高さ180mの側壁に雷の直撃を受けています。壁の一部が剥がれ地上に落下、幸いケガ人はいませんでした。
国会議事堂も高さ60mを超える頂部を直撃、御影石がワイヤーの入ったガラスを突き破り、1階の食堂に落下しました。
しかし、こうした被害を報告する義務はありません。専門家は今回明らかになった被害は氷山の一角だといいます。
被害が相次いできた背景には、安全のための基準が守られていない実態があることもわかってきました。
平成17年の建築基準法の改正で、新しい基準では、ビルの側壁や角にも雷対策を求めていました。
↓こちらは、実際に対策がとられたビルです。屋上の周囲や側壁には雷を受け止める金属を取り付けていました。
先ほどの被害を受けた10棟全てでは、こうした対策が取られていませんでした。
しかも、国が雷対策の基準を改正した後に建設された建物も複数含まれていたのです。
雷対策の基準を改正をした際の国が示した方針では、新しく建てる場合でも古い基準の避雷設備でもよいとしていました。
このことが、対策の必要性を曖昧にしてしまった問題なのだといいます。