2015年に犯罪に巻き込まれて、殺人や傷害致死で亡くなった人の数は、443人。(交通事故は除く)
こういった殺人など故意の犯罪行為によって亡くなった被害者や、被害者遺族への公的な支援に
「犯罪被害給付制度」があります。
交通事故の場合は、加害者が自賠責保険に入っているので賠償できますが、
殺人や傷害の場合、加害者のための保険などはないので、この制度ができました。
この制度は、1974年の「三菱重工ビル爆破事件」などを契機に導入されました。
犯罪被害給付制度とは?
1981年からできた制度で、
遺族に支給される「遺族給付金」と、被害者本人に支給される「重傷病給付金」「障害給付金」の3種類。
持続的な保障ではなく、一時金として国から支給される見舞い金としての位置づけ。
この給付金の2016年の裁定額は、390人に対して、約8億8200万円。
その内訳は、
遺族給付金 6億2700万円(129件)
重傷病給付金 3500万円(164件)
障害給付金 2億2000万円(97件)
平均すると、
遺族給付金 平均486万円
重傷病給付金 21万円
障害給付金 227万円
遺族給付金にしても葬儀費用で200万円、残り300万円では1年生活できるかどうか。
事件現場が自宅周辺だった場合、引っ越しを望む遺族もいますので、犯給金だけでは、事件後の生活を立て直すには到底足りない。
また犯給金は、
親族間の事件は原則不支給など、適用基準が定められていて、すべての被害者に給付されるものではない。
犯罪被害者や遺族が民事裁判を起こして加害者に賠償金を支払ってもうというケースが通例。
新聞やニュースで、
・遺族が損害賠償請求、加害者らに9000万円の支払い判決
・加害者の元少年に6000万円の賠償命令
などと、民事裁判の判決確定までが報道されますが、その後はというと、
実は、裁判で確定した賠償金のほとんどが支払われていない。
殺人・傷害致死の約7割、強盗・詐欺・横領の約5割は賠償金が不払いとなっている。
損害賠償訴訟で判決を得ても、殺人などで刑務所に入っている加害者が賠償金を支払うのはほぼ不可能。資金力がある加害者も少ない。
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支払われないまま、10年で時効。
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遺族側が諸費用を負担し、再び提訴。
つまり、加害者の逃げ得を許している状態。
諸外国では、
・国が加害者から賠償金を取立て被害者に支払う。
・すべての事件の加害者から一律の金額を徴収し、被害者支援に還元。
などの被害者支援策がある。
日本でも、加害者の逃げ得を許さず、被害者や被害者遺族の金銭面での負担を軽減する支援策が必要。
そんな中、日本でも、独自に支援制度を始めている自治体があります。
兵庫県明石市では、2014年4月から、市独自の「犯罪被害者支援」をスタートしている。
・市が賠償金(上限300万円)を立て替え、同額分の損害賠償請求権を被害者から譲り受ける。
=市が加害者から賠償金を回収。
・転居費用の補助(2回まで、上限20万円)など。