「なぜ山の上の方が太陽に近いのに寒いのか?」という疑問がありました。
芝浦工業大学の山田先生によると、
山田先生「太陽と地球はものすごく離れている。山の上に登ったところで、大して太陽に近づいたことにはならない。」
とのこと。
例えば、世界一高い山「エベレスト」。その高さは標高8848m。
これは、富士山の約2.3個分、スカイツリーなら約14個分の高さに相当します。
そう考えると、エベレストの頂上はかなり太陽に近いように見えますが、
太陽と地球の距離はというと、約1億5000万km。
エベレストの頂上に登ったとて、近づいたうちに入りません。
つまり、山の上の寒さと太陽までの距離は全く関係がないのです。
山田先生「地球はコンロに置かれた鍋のように直火で温められているわけではありません。太陽から放射される電磁波で温められています。これはお家にある電子レンジも同じなんです。」
太陽の表面温度は約6000℃と、とてつもなく熱いですが、太陽はとても離れているので、この熱は地球までは届きません。
地球まで届いているのは、太陽が放射する「電磁波」。
この電磁波が地球の表面にぶつかると、地表の分子を激しく振動させ、それにより熱が発生します。
これが地球が太陽に温められる仕組み。
つまりこれは、電子レンジが食べ物にマイクロ波をあてて温めるのと同じなのです。
私たち人間も、太陽の電磁波によって、体の表面の分子が振動するので、あたたかいと感じるのです。
地球がどうやって温められているのかはわかりましたが、それなら山の上も下も同じようにあたたかいはず。
なのに、なぜ山の上の方が寒いのでしょうか?
山田先生「温められた空気の中にある分子は非常に激しく振動しています。
分子の振動が激しければ激しいほど、温度が高いという状態です。
この温められた空気が上昇していきます。上昇すると山の上の気圧は低いので、空気は膨張します。
この時、分子は自分のエネルギーを使って膨張します。そのため分子のエネルギーは失われて、動きがゆっくりになります。
これが温度の低い状態に相当します。
山の上が寒い理由は、この分子の振動が小さくなったことです。」