「いろいろな色の花があるのはなぜか?」という疑問がありました。
それを、総合研究大学院大学 の蟻川先生が説明していました。
どうやったら昆虫や鳥が、たくさん花の方に来てくれるか?その植物側の戦略のひとつが花に色をつけること。
そもそも植物は、蜜を求めてやってくる虫などに花粉を運んでもらい受粉します。
受粉すると種ができ、子孫を残すことができるのです。
花たちはそれぞれ、生き残るために様々な色を使って、虫たちにアピールしているのです。
虫たちが来て蜜を吸うと、『この色の花に蜜がある』と覚えて、またその色の花に行く。
しかし、虫に蜜の場所をアピールするためならどの花も色は同じでいいはず、なぜいろんな種類の色があるのでしょうか?
昆虫によって色の見え方が違うといいます。
例えば、ミツバチの目には、赤色が認識できない代わりに、黄色や白色は認識できるため、その色の花に集まる習性があります。
アゲハチョウは、赤色が認識できるので、赤い花に多く集まるのです。
このように、虫によって色の見え方がバラバラ。
虫を効率よく引き寄せるために、さらに進化した花もあります。
「ハコネウツギ」という花は、受粉前は「白色」、受粉後は「赤色」と色を変化させることで、まだ受粉できていない白色の花だけを目立たせ、そこに虫を呼び寄せるようにしている。
花が色をつける理由がわかりましたが、人間と虫とではその色の見え方が違うといいます。
虫たちの目には、人間にはない紫外線センサーがついている。
紫外線は太陽の光に含まれ、人間には見えない光。
紫外線の見える特殊なカメラで、
白い花を見てみると、水色。
( ←人の見え方 | 紫外線カメラ→ )
鮮やかな赤い花が、紫色。
( ←人の見え方 | 紫外線カメラ→ )
さらに、自然界には紫外線が作る模様もたくさんあります。
花が黄色一色の菜の花を紫外線カメラで見てみると、花の中心部が黒くなり模様がくっきりと浮かび上がりました。
( ←人の見え方 | 紫外線カメラ→ )
これは虫たちにだけ蜜のありかを教えていると考えられています。
うっとりするようにきれいな色は、人間のためではなく虫のためだったのです。