日本の水道事業は民営化した方がいいのか?水道法改正案の話:モーニングショー【2018/11/22】

国会で、「水道法改正案」が可決されそうです。

日本が売られる」の本の著者であり、国際ジャーナリストの堤 未果さんが、その「水道法改正案」の問題点を指摘していました。

公営から企業運営になった途端、水は「値札のついた商品」になる。飲み水がタダの時代は終わった。そして、これはまだまだ序の口なのだ。水という「商品」につけられる値段は、ますます釣り上げられていくだろう。

今までは、水道事業の最終的な運営の決定権は自治体にありました。

今度は「コンセッション方式」というものが入っていて、

これはどういうものかというと、所有権は自治体がそのまま持つ、でも、運営権は民間の事業者が全部持つ。

運営そのものをやる時に、民間にしてしまうということは、当然これはビジネスになる

自治体がやっている時には、採算よりも水の安定供給とか、水質を維持するということが、公共の目的になるわけですが、民間がやるということは、やはり株主もいるので、利益を出さないといけない。

「採算度外視でも国民に安全な水を供給する」ことを目的とする公営水道と違い、運営権を手に入れた民間企業がまず最初にやることは、料金の改定だ。
見落としてはならない事実が1つある。
複数の電力会社が1つの送電網を共有して電気を流す電力と違い、1本の水道管がつなぐ水道は、1地域につき1社が独占になる。つまり、水道というインフラには、利用者を引きつけるために、サービスの質や価格の安さで勝負しなければと民間企業に思わせるための<競争>が存在しないのだ。

独占なわけですよ。今回の法改正されてしまうと、水道料金が厚労省を通さなくても、事業者が届け出さえ出せば料金を上げることができます。

政府側の反論としては「自治体が上限を決めればそこまではいかない」。

ところが、そんな独占状態の中「キレイな水を供給するにはこれだけの費用がかかる」と言われた自治体はそれを断れるでしょうか?

災害時に水道管が壊れた場合の修復も国民への水の安定供給も、どちらも運営する企業でなく、自治体が責任を負うことになった。日本の法律では、民間であってもガスや電気の安定供給の責任は、しっかり事業者に課せられている。だが水道だけは、水道事業法が存在しないため、今回の法改正では、その責任は事業者から自治体に付け替えられた。

料金を上げて「儲かった分」は事業者にいく、何か起きた時の「修復・後始末」は自治体側にいく。

民営化後の水道料金は、ボリビアが2年で35%、南アフリカが4年で140%、オーストラリアが4年で200%、フランスは24年で265%、イギリスは25年で300%上昇している。

値上げ後、世界の水道管は更新されたのか?これは本当は「料金を上げた分の利益を使って直しますよ」と言ったが、それは利益が出た場合のこと。実は利益をタックスヘイブン(租税回避地)に移して、利益自体は赤字で申告していた。そうなると利益はありません。「では、水道管は直せません」と言って、水道管は直らないまま料金は上がった、これでイギリスでは国民が怒り再公営化するという流れになった。

2000〜2015年の間に、料金高騰やサービス低下を理由に、37か国235都市が再公営化している。

ところが、企業は契約期間(20年など)を設けているので、途中で公営化すると何十億円という違約金が発生してしまう。

ではなぜ、日本で民営化されようとしているのか?

事業に参入する側からするとメリットしかない。参入する側の財界の人たちが法律を決めるグループの中にいる、なので日本全体の法改正は財界寄りになっている。

企業側のメリットになる方が重視されている。

パリ市が水道を再公営化する際に、いくつか決めたことがある。水道事業の運営をチェックする第三者機関に市民が参加し、水道料金や投資、使用する技術の選別などの重要決定に参加することだ。

民営化が悪い、役所がやればいいということではなくて、新しいやり方を工夫して海外の事例を参考にしてやっていく、まずは徹底的に透明化することが必要。