以前会ったことがある人と対面した時に「この人誰だっけ?」と思い出せないことがあります。
なぜ、そんなことが起きるのでしょうか?
人の頭の中では、神経細胞(ニューロン)が情報を蓄えています。
この神経細胞同士がつながり、情報と情報が結びつくことで「記憶」が生まれます。
人の脳にある「海馬」という部分には、「誰」という他者に関する記憶が保存されていることがわかっています。
ピアノの鍵盤をこの海馬に見立てると、記憶の仕組みがよく分かります。
この1つ1つの鍵盤が1個の神経細胞だと仮定する。
今回は、1〜8まで8個で海馬が構成されているとする。
鍵盤が押されている時は、その神経細胞が活動していることを表す。
私たちは、複数個の神経細胞の組み合わせで1つの記憶を表現している。
例えば、1、3、5の組み合わせを押している時は「Aさん」の記憶を思い出す。
2、5,8の組み合わせを押している時は「Bさん」の記憶を思い出す、といったように。
このように違う人の記憶は違う神経細胞集団に格納されています。
1つの神経細胞だけ活動してもダメで、ある一定以上のパーセンテージが活動しなければいけません。
例えば、1、3、5 の 「1番」だけだとちょっと足りないです。
1番と3番だと、少し思い出してきて、
1番と3番と5番だと、完全にAさんのことを思い出す。
「この人誰だっけ?」っていうその人自体を思い出せない時は、十分な数の神経細胞が活動していなくて、全体の記憶を思い出すことができないからなのです。
思い出せた時というのは、そういう細胞が必要な分だけ活動しているということです。