心霊写真が簡単に撮れる!?「副実像」の話:ろんぶ〜ん【2019/03/07】

熊本県立宇土高校の科学部物理班が、いわゆる「心霊写真」の撮影に成功したという話です。

世の中の心霊写真全部が、その方法で撮られているわけではなないですが、物理班が発見した方法を使うと撮れるそうです。

心霊写真を撮るには、必要な条件があります。

1.暗い場所

2.一部分だけ光を強く当てる

これらの環境下で、スマホを使って写真を撮ると、↓この通り。

強い光が当たったもの(左下)が、別の場所(右上)に逆さまになって現れるというもの。

物理班は、この仕組みを解明したのです。

電球をカメラで撮ると、その光はレンズを通過する時に屈折します。

そのため、実際には、上下逆さまに映ります

その映ったもののことを「実像」と呼びます。

実はこれ、中学の理科で習うレベルです。

その時、こう教わります。

1つのレンズが作り出す実像は1つだけ

しかし、8年前、物理班の先輩たちが、ある大発見をしました。

ここに、電球、レンズ、スクリーンが、一直線に並んでいます。

電球を点灯すると、電球の光はレンズを通過し、スクリーンに逆さまに映ります。

ここで、電球側からレンズを見ると2つの電球が見えます。

1つは、鏡のように映り込む電球。

もう1つは、逆さまに映っている電球、これは実像ではないか?と考えます。

しかし、科学の常識では、1つのレンズからできる実像は1つだけのはず、既にスクリーンに実像が映っているので、いったいこれは何なのか?という話になります。

レンズを通してスクリーンに映っている実像が見えているのでは?と、手で遮ってみても、まだレンズに映っています。

そこで、特注のレンズを用意して見てみると、

レンズの中で光が反射して、レンズの手前と後ろに小さな実像ができることがわかりました。

先ほど、レンズの中に逆さまに映っていたのは、これの「手前」にあるものでした。さらに、奥にも存在していたのです。

これは、これまでの常識(実像は1つ)を覆す大発見です。

これを物理班は「副実像」と名付けました。

この副実像を写り込ませたのが冒頭の「心霊写真」なのです。

副実像は、非常に強い光でないと、はっきり現れないため、普通は写真に写り込みません。

しかし、暗い場所で、一部分に強い光が当たることで、写りやすくなるのです。