熊本県立宇土高校の科学部物理班が、いわゆる「心霊写真」の撮影に成功したという話です。
世の中の心霊写真全部が、その方法で撮られているわけではなないですが、物理班が発見した方法を使うと撮れるそうです。
心霊写真を撮るには、必要な条件があります。
1.暗い場所
2.一部分だけ光を強く当てる
これらの環境下で、スマホを使って写真を撮ると、↓この通り。
強い光が当たったもの(左下)が、別の場所(右上)に逆さまになって現れるというもの。
物理班は、この仕組みを解明したのです。
電球をカメラで撮ると、その光はレンズを通過する時に屈折します。
そのため、実際には、上下逆さまに映ります。
その映ったもののことを「実像」と呼びます。
実はこれ、中学の理科で習うレベルです。
その時、こう教わります。
「1つのレンズが作り出す実像は1つだけ」
しかし、8年前、物理班の先輩たちが、ある大発見をしました。
ここに、電球、レンズ、スクリーンが、一直線に並んでいます。
電球を点灯すると、電球の光はレンズを通過し、スクリーンに逆さまに映ります。
ここで、電球側からレンズを見ると2つの電球が見えます。
1つは、鏡のように映り込む電球。
もう1つは、逆さまに映っている電球、これは実像ではないか?と考えます。
しかし、科学の常識では、1つのレンズからできる実像は1つだけのはず、既にスクリーンに実像が映っているので、いったいこれは何なのか?という話になります。
レンズを通してスクリーンに映っている実像が見えているのでは?と、手で遮ってみても、まだレンズに映っています。
そこで、特注のレンズを用意して見てみると、
レンズの中で光が反射して、レンズの手前と後ろに小さな実像ができることがわかりました。
先ほど、レンズの中に逆さまに映っていたのは、これの「手前」にあるものでした。さらに、奥にも存在していたのです。
これは、これまでの常識(実像は1つ)を覆す大発見です。
これを物理班は「副実像」と名付けました。
この副実像を写り込ませたのが冒頭の「心霊写真」なのです。
副実像は、非常に強い光でないと、はっきり現れないため、普通は写真に写り込みません。
しかし、暗い場所で、一部分に強い光が当たることで、写りやすくなるのです。