「蟻地獄」の話がありました。
それは、巣に獲物のアリが落ちたら最後、崩れる砂に足をとられ、登ることができない地獄の斜面。
その中にいるのは、大きさわずか1cmの「アリジゴク」。
アリジゴクは、私たちの身近な所にいる。
例えば、神社やお寺。
境内の下などの地面に、無数の穴が開いている。
大きなもので直径6cm、深さは3cmほどになる。
アリジゴクは、ウスバカゲロウの幼虫のことをいう。
↓ウスバカゲロウ
その大きさは、わずか1cmほど。
一番の特徴は、頭の先にあるクワガタムシのような大アゴ。
この大アゴで獲物を捕らえる。
アリジゴクの主な獲物はその名の通り、アリ。
砂に足をとられて落ちていくアリ。
その下からアリジゴクが勢いよく飛び出してくる。
アリジゴクは巣の1番下の中で隠れている。
アリが落ちてくるのをひたすら待ち続ける。
自分と同じ大きさのアリでも、180度開いた大アゴではさみ、砂の中に引きずり込む。
実はこの大アゴ、はさむだけではなく、先端から毒も出る。
アリジゴクの毒は、フグの毒の100倍以上も毒性が強いといわれている。
捕まったアリは、一瞬で命を落とす。
アリジゴクは、捉えた獲物の体液だけを吸う。
食事が終わると、その残りは巣の外へ放り出す。
ところで、アリはなぜ、蟻地獄から抜け出せないのか?
アリは、表面がツルツルしたガラス窓などでも、なんなく登れ、どんな場所でも縦横無尽に行き交う。
しかし、蟻地獄は、アリが登ろうとする先から斜面の砂が崩れていくため、アリがいくら足掻いても登れない。
砂が崩れる理由は、斜面の角度にある。
その角度は40度、砂が自然に崩れるギリギリの角度になっている。
アリが歩く振動で簡単に崩れてしまう。
それと同時に、下から大量の砂を浴びせて、さらに足元を悪くする砂かけ攻撃する。
アリジゴクを作るのにかかる時間は、約1時間。
最後に、斜面に砂をかけていくが、この時、粒の小さい砂を使うことで、より険しい急な斜面を作ることができる。
大アゴの内側にあるトゲで、大きい砂と小さい砂をふるい分けている。
大きい砂は、外に投げ捨て、小さい砂は斜面へ。
その投げる角度は60度。