魚といえば、タイなどの魚は白身、マグロなどの魚は赤身、
しかし、サケの身だけがオレンジ色。そして、卵のイクラも。
いったい、これはなぜでしょうか?
その理由は、イクラを産むことに関係している。
エサを探して3万キロ
サケは川で生まれるが、イクラをたくさん産む栄養をつけるため、エサを求めて海にまで行く。
海であれば冬の間でも、ある程度エサを食べることができる。エサの量が圧倒的に違う。
サケは海水の余分な塩分をエラから排出できる。
サケ以外にも海でエサを捕る魚がいて、アユやシシャモも川で生まれて海で育ちまた川で産卵する。
でも、サケは他の魚たちとエサを食べる期間が違う。
アユは5ヶ月、シシャモは2年、サケは平均4年もエサを食べて泳ぎ続ける。
それは、オホーツク海からベーリング海、さらに遠くはアラスカ湾まで行ったり来たり、
その距離は、最大3万キロ。
例えるなら、日本列島の北海道から九州の端から端までを10往復するほどの距離。
そしてその間に食べるエサが、オキアミ(全長3cm)などの甲殻類プランクトン。
オキアミの中にある赤い色素が筋肉の中に溜まって、身がオレンジ色になる。
鮭の身だけが鮮やかなオレンジ色なのは、それだけ長い期間エサを食べ続けているから。
4年に渡って十分に栄養を摂ったサケは卵を産む。
生まれた川まで戻る
サケは川で産まれたので、川で卵を産む。
日本には3万本以上の川があるが、サケは自分が生まれた川を見つけることができる。(※なぜ生まれた川まで戻るかは解明出来ていない)
遠いアラスカ湾からどのようにして戻るかというと「嗅覚」を使う。
サケは人間よりはるかに高い嗅覚を持っていて、95%以上の確率で生まれた川へ戻る。(※他にも太陽の位置・磁力・海竜を利用しているといわれる)
ひたすら川の上流を目指す
サケは水が比較的流れやすい砂利の場所を選んで産卵する。砂利が多い場所は川の上流部になる。
少しでも安全にイクラを産むため、ひたすら上流の砂利の場所を目指す。
急な川の流れと逆方向に泳ぐため大変。浅い場所だと傷だらけになる。
中には人間が作った障害物があるから、それを乗り越えないといけない。
イクラを産めずに途中で死んでしまうサケもいる。
こうやって苦労してようやくイクラを産む。
サケは産卵すると力尽きてしまい、我が子の顔を見れず、すべて死んでしまう。
豆知識:
イクラは、ロシア語で「魚卵・小さな粒々のもの」という意味がある。
日露戦争の際にロシア軍の捕虜が「イクラ」と言って食べていたところから広まっていった。