水は透明ではなく青いという話です。
それを知るには、まず色が見える仕組みについて理解する必要がある。
実は、光の白色は多くの色が混ざったもの。
光の中には、赤や緑、青といった、さまざまな色の成分が混ざっており、それらが均一になった時に白く見える。
わたしたちの身の回りのほとんどのものは、白い光から特定の色の成分を吸収する。
つまり、私たちが見ている色とは、
物体が浴びた太陽光の中から、吸収されなかった色が見える。
この現象をリンゴを例にして見てみると、
まず、光源から出た白い光はリンゴに当たる。
リンゴは、この白い光から青や緑の成分を吸収する性質があるため、残った光は赤の成分が強くなり、私たちの目にはリンゴは赤く見えている。
どの色の光をどの程度吸収するかは、ものによって異なる。
これが緑の葉っぱの場合、赤や青の光を吸収するので、
残った緑の光が目に届き、葉っぱは緑色に見えている。
この色の引き算こそが、色が見える仕組みの正体。
では、水は何色の光を吸収しているのか?
水はリンゴと比べると、目に見える光を吸収する性質が非常に弱い。
このため、多くの人は水を透明と感じる。
光源から出た白い光は、水に当たっても、ほとんど色の成分が吸収されることはなく、ほぼ白いままの光が人間の目に届く。
しかし、色の成分を吸収する性質はゼロではなく、わずかに光の赤い成分を吸収する性質がある。
水によって赤い成分を吸収された白い光を再現してみると、光は薄い青に見える。
つまり、水は透明ではなくわずかに青い。
水が青ではなく透明に見える理由には水の量が関係している。
その性質がよく分かる実験がある。
奥行き90cmの水槽いっぱいに絵の具で青色に着色した水を用意。
この水槽からコップ1杯分の水をすくい、水槽の横に並べてみると、水槽の水に比べコップ1杯分の水の方が色が薄く見える。
これはコップに比べ、15倍の距離、水の中を光が進んだことで、赤色の成分がより多く吸収され、青色がはっきりと見えたということ。
これと同じことが自然界でも起こっている。
コップ一杯では透明にしか見えない水だが、自然界で大量に集まる場所、海では水は青く見える。
確かに浅瀬では水は透明、
そして沖に出るほど、水の量は増えていき、その色は青くなっていく。