さまざまなにおいを嗅ぎ分ける「嗅覚」の仕組みは、どのようになっているのか?
嗅覚は、鼻の粘膜の「嗅細胞」がセンサーとなっている。
しかし、詳しいメカニズムは1980年代まで、はっきりとわかってはいなかった。
1991年、リンダ・バックとリチャード・アクセルが「嗅細胞」の先端にある嗅覚受容体タンパク質を発見し、のちにノーベル賞を受賞。
現在、人には約400種類の嗅覚受容体があることがわかっている。
ちなみに重要だと考えられていた視覚の受容体はわずか数種類。
嗅覚の受容体がこれほど多いとは大変な驚きだった。
嗅覚受容体はどのようににおいを嗅ぎ分けているのか?
におい物質と嗅覚受容体は鍵と鍵穴の関係。
鍵が鍵穴にハマると嗅覚受容体は信号を発し、神経を興奮させる。
この時、1種類のにおい物質が何種類もの嗅覚受容体にハマることがある。
人間の嗅覚受容体は400だが、この組み合わせパターンによって、1万種類ものにおいが嗅ぎ分けられるというわけ。
膨大な数のにおいを識別できる仕組みを我々の鼻は持っている。
この嗅覚受容体の数は、イヌは800、ネズミは1000〜1100、一番受容体の数が多いのは「ゾウ」で、アフリカゾウは2000。
アフリカゾウを狩る民族と狩らない民族がいるが、これを体臭で識別できるほどだという。