トウガラシの辛みはなぜ病みつきになるのか?という話:ヘウレーカ!【2019/12/04】

ピリリと辛い「トウガラシ」。

インドの「カレー」、韓国の「キムチ」、イタリアの「ペペロンチーノ」、タイの「トムヤムクン」など、

トウガラシは、世界の色々な料理で使われている。

トウガラシの辛み成分「カプサイシン」は、胎座というところで作られている。

トウガラシははなぜ、カプサイシンを作り、辛くなるのか?

科学雑誌「ネイチャー」に、興味深い研究が掲載された。

アメリカアリゾナ州の砂漠に自生するトウガラシを調べたところ、

食べるのは鳥類ばかり。ちなみに鳥は辛さを感じない。

逆に、現地のヤマネズミは辛みを嫌って食べなかった。

そこで、比較のために辛みのない品種を食べさせてみた。

そして、ヤマネズミのフンを観察すると、

フンに残ったタネは哺乳類特有の奥歯で噛み砕かれていて、発芽できなかった。

つまり、トウガラシにとっては食べられ損になってしまう。

このことから、カプサイシンを作るのは、哺乳類に食べさせない戦略だと考えられる。

しかし、人間はこの辛さが病みつきになる人も多い。

なぜ、病みつきになるのか?

トウガラシの辛さを感じると、その時の痛みを抑えるために、βエンドルフィンという脳内物質が放出される。

このβエンドルフィンは、至福感や陶酔感をもたらし依存性もある。

つまり、トウガラシの摂取を繰り返すと、「辛い」「痛い」といった感覚は徐々に弱くなり、「おいしい」「幸せ」といった情動が強くなる。

これが病みつきになるメカニズムだといわれている。

トウガラシ大全: どこから来て、どう広まり、どこへ行くのか

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