森林総合研究所の藤井 一至さんが、世界の土について説明をしていました。

- 作者:藤井 一至
- 出版社/メーカー: 山と渓谷社
- 発売日: 2015/11/20
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ここに、いろんな種類の泥団子がある。
この泥団子は、世界から集めてきた土で作られている。
色が違うのは土の材料が違うため。
土の材料とは、岩が細かくなってできた砂と粘土、それから死んだ植物や動物が腐ったもの、これらが混ざったもの。
土の定義とは?
まず、岩が風化し、さらに細かく砕けて砂や粘土になる必要がある。しかし、これだけでは不十分。
土になるには「腐植(ふしょく)」がまざる必要がある。
腐植とは動植物の死がいが微生物によって細かく分解されたあとの残骸。
腐植が多いほど作物がよく育つ「いい土」になる。
これこそ、肥沃な土の絶対条件。
世界の土は、大きく分けると全部で12種類。
・黒ボク土
火山が噴火し灰が降り積もることから生まれる。火山灰が風化し、その上に生えた植物が腐植となって混ざり合う。黒々とした土となる。
・若手土壌
・強風化赤黄色土
・未熟土
・ひび割れ粘土質土壌
・砂漠土
・オキシソル(赤土)
極度の風化で土に残ったアルミニウムや鉄さび粘土のかたまり。ブラジルや中央アフリカに分布。極度に風化し鉄の成分が残ったため赤い。その化石がスマートフォンのボディに使われている。
・粘土集積土壌
・チェルノーゼム(黒土)
「土の皇帝」といわれる肥沃な土。東ヨーロッパや北米などに分布。世界有数の穀倉地帯を織り成し、私たちが口にする小麦の多くを育む。
・泥炭土(でいたんど)
植物が分解されずに堆積した土。カナダや北欧などの湿地帯に分布。世界の陸地面積1%。数千万年もすれば石炭になり電気の燃料や火薬のもととなる。
・ポドゾル
・永久凍土
これらの中で、泥団子を作れる土は、7種類。
永久凍土や泥炭土など泥団子が作れない土は世界中に多い。砂漠土は水を混ぜて数千年待てば泥になると思われる。
泥団子を作れない5つの土は共通して粘土が少ない。粘土が少ないと腐植を吸着できない。つまり、作物が育たない痩せた土。
日本には粘土質で褐色な若手土壌と黒ボク土と呼ばれる土が多く部分布する。
火山が多い日本では、黒ボク土が陸地面積の30%を占める。
しかし、これは世界全体では1%にも満たない。
粘土や砂、腐植の割合によって、私たちが当たり前だと思っている土が変わる。