鼻に水が入ると痛いのはなぜ?という話がありました。
その理由を 大阪大学大学院で薬学を研究している 藤田郁尚 先生が説明していました。
まず、水には鼻に入ると痛い水と痛くない水がある。
そこに関わってくるのが「塩分濃度」。
我々人体の6割は体液、つまり水分で出来ており、その体液には私たちの体に不可欠な塩分が含まれている。
その体液中の塩分濃度が0.9%。
つまり、その塩分濃度と違う濃度の水分が鼻に入ると痛みが起きる。
例えば・・・、
シャワーの水は塩分濃度0%。
プールの水は塩分濃度0.1%。
どちらも、人間の体液0.9%よりも塩分濃度が低い水なので、鼻が痛くなる。
その理由は?
鼻に入ってきた水は・・・、
粘膜細胞の付近にある神経細胞に触れる。
この神経細胞は細胞膜で覆われていて、その細胞膜は「半透膜」という性質を持つ。
これは、体液と外部からの水を「同じ濃さ」にしようとする。
細胞の中の体液を同じ濃さにしようとして、水が移動するので細胞は水を取り込み膨らむ。
その時、細胞膜にある感覚センサーが「痛い」という危険信号を脳に伝える。
その感覚センサーを「TRPA1(トリップエーワン)」という。
「TRPA1」は細胞膜の表面にあり、細胞が水を含むことで膨らんだ時に、TRPA1も同時に開き反応を起こす。
その反応が「痛み」として伝わることで、鼻が痛いと感じている。
細胞は膨らみすぎると破裂するので、それを防ぐために痛みを感知している。
ちなみに、目に水が入ると痛むのも目の粘膜にTRPA1があるため。
鼻と同じ現象が起こっている。
鼻水が痛くないのは、鼻水の塩分濃度が体液に近いため。
塩分濃度が0.9%の水だと、鼻に入っても痛くない。
では、塩分濃度が0.9%以上だったらどうなるのか?
実は、これも鼻が痛くなる。
これはなぜか?
塩分濃度が高い水が細胞に触れると、これも同じ濃さにしようと、今度は逆に細胞は縮む。
その時に、TRAPA1が反応してしまうのではないかと考えられている。
こちらの理由に関しては、まだ解明されていないとのこと。