中国料理を回転テーブルで食べるのはなぜ?という話がありました。
これを 江戸川大学 名誉教授の 斗鬼 正一 先生 が説明していました。
その理由は、「日本でチップが根付かなかったから」だといいます。
いったいどういうことでしょうか?
そもそも回転テーブルは、本場中国ではなく日本で作られたと言われている。
中国では食事の時の座順が決まっている。
それを考えると回転テーブルがありえない。
中国では、食事の時、偉い人から順に座るという決まりがある。
取り分けるのもこの順番。
そのため、回転テーブルだとあっちこっちバラバラの順番になってしまう。
では、日本で生まれた訳とは?
その要因は、「文明開化」。
江戸時代が終わり明治時代になると、西洋をはじめとする海外の文化や生活習慣が入ってきました。
その時に、「食文化」「ファッション」などと一緒に入ってきたのが、日本にはなかった「チップ」という異文化。
チップとは、サービスに対して支払うお金のこと。
中国料理は大皿で出されるため、従業員が小皿に取り分けるのが一般的で、その際にチップを払っていたという。
しかし、このチップが当時、社会問題になった。
チップでお金がもらえるので、従業員に給料を払わない店が出てきた。
昭和5年の昭和恐慌で日本も不景気に突入。
しかし、飲食店は依然としてチップをあてにした経営を続けていた。
それに対し、割高なチップを払っていた客の不満もあり、新聞や雑誌で「チップ廃止」が叫ばれ、地域によってはチップを禁止する所まで現れた。
そんな中、チップ不要を売りにする店が出てくるようになる。
すると、今まで通りチップをもらってる店の客足が遠のく。
しかし、大皿料理が中心の中国料理では、チップを廃止して従業員がいなくなると、客が自分で料理をとり分けなくてはならない。
これを解消するために生まれたのが、「回転テーブル」だったのではないか。
テーブル自体が回れば、客は自分で座ったまま、チップを渡さなくても料理を取ることができる。
こうして回転テーブルが生まれたと考えられる。
回転テーブルを発明した人は誰だかわかっていないが、昭和6年の記事には紹介されていた。
日本で生まれた回転テーブルは、本場中国に渡り、今では世界中の中国料理のお店で使われるようになった。