花屋さんを長年悩ませ続けている「ある問題」がある。
生ものである花は、売れ残ってしまうと、しおれる一方。
どんどん商品価値が下がって、捨てるしかなくなってしまう。
これが「フラワーロス」。
一般的な花屋さんでは、仕入れた花の3〜5割くらいを捨てている。
このフラワーロスによる経済的な損失は、年間1500億円にものぼるという分析もある。
一般的に、どこの花屋でも、客が買って帰ったタイミングで、満開を迎えるよう花がつぼみの状態で、5℃〜8℃の冷蔵庫に入れて保存している。
それでも、もつのは1週間が限度。
2週間後には、花は冷蔵庫の中で、咲いてしまう。
もっと成長を遅らせるためには、温度を下げるしかない。
しかし、5℃以下に下げると、花の中の水分が流れにくくなる。
水分が行き届かず枯れてしまう。
そんなフラワーロスを解消するべく、林正史さんが研究中の最新マシンがある。
こちらが、その特殊な冷蔵庫。
中の温度は1℃。ここなら2週間後でもつぼみのままで保存できる。
そして、冷蔵庫から出すと、花は咲きだす。
その秘密は、壁に取り付けられたパネル。
1秒間に5万回の振動を与える電波を流している。
その電波を受けると、花の中の水分に変化が起こる。
花の中の水をミクロで撮影して見てみると、
通常、水の粒は大きさも配置もバラバラ。
しかし、特殊な冷蔵庫の電波を当てると、その振動によって水の粒はどれも均等に小さくなり1列に整列。
このように、小さく変化した水の粒は1℃という低い温度でも茎の中を流れていける。
なので、花に十分な水が行き、成長がとまったまま、枯れずに生き続ける。
花をつぼみのまま、これまで以上に長い間保存ができる冷蔵庫を使えば、フラワーロスの解消になると期待されている。
現在、花の種類別にデータを取り、実用化に向けて研究が進んでいる。