眠くなると目をこするのはなぜ?という話がありました。
これについて、信州大学医学部特任教授の松尾清 先生 が説明していました。
眠くなって、まぶたをこすった時、実は、まぶたの中のミュラー筋をこすっている。
私たちの目には、まぶたを動かす筋肉があり、その先端にあるのがミュラー筋。
このミュラー筋は、2cm x 3cmくらいの小さな筋肉だが、これが全身を目覚めさせるスイッチ。
まぶたをこすって、振動を加えたりすると、脳が覚醒して、交感神経が緊張して、心臓がドキドキして、全身の血流が増えて、筋肉にも力が入って、全身を覚醒させることができる。
そんな大事なスイッチが、なぜまぶたにあるのか?
狩猟や戦うときに突然スイッチを入れて興奮状態になるために必要だった。
遠い我々の祖先は、狩りで獲物を取る生活を送っていた。
獲物を捕まえる時に、大きく目を見開いて狙いを定める。
この時に、ミュラー筋が引っ張られている。
つまり人間は、獲物を取り逃がさないために、まぶたに体を目覚めさせるスイッチを得た、と推測される。
ある検証では、10秒間まぶたをこすると、手の表面温度が上がる人が多かった。
他にも、「目を上向きにする」ことで、同じように、ミュラー筋を刺激することもできる。
ちなみに、「視線を下にする」と、ミュラー筋が緩み、リラックス効果が得られる。書店で本を読んでいるときに便意を催すのは、下を向くことで全身が緩むため。
ミュラー筋以外にも、スイッチがある。
歯を食いしばることで、ミュラー筋と同様に交感神経を活発にする。
歯根膜機械受容器が刺激され、全身が目覚める。
この検証でも、手の表面温度が上がる人が多かった。