かつて、「当たり屋」といえば、いきなり車道に飛び出してきて、わざと車にぶつかり、治療費や示談金を騙し取る犯行の手口だった。
しかし、昨今、煽り運転が社会問題化し、ドライブレコーダーが普及。
立証が簡単になったため、当たり屋は激減。
・・・したかと思いきや、
進化系の当たり屋が出現!巧妙な手口で金をだまし取っている。
そう語るのは、交通ジャーナリストの吉田武さん。
進化系当たり屋の元締めの二人組に直接取材し、犯行の手口を聞いたという。
歩きスマホ専門の「当たり屋」
進化系の当たり屋とは、「ながらスマホ・歩きスマホに接触する当たり屋」。
前方不注意の人に当たるということ。
高級腕時計を身に着けた状態で転倒をする。
まずは時計をバーンと路面に叩きつけて壊して、「これ、どうしてくれるんだ?」という感じで修理費を取る。
この時、元々壊れた高級腕時計を使う。
時計を使っても損はしない
ネットなどで、ジャンク品として激安で出品されている。高級ブランド時計を大量に購入する。
そして、オーバーリアクションで転ぶことによって、周りの人たちが見る。
「時計が!」と叫んで、いじっている間に、壊れたとする当たったその時間に設定する。
当たり屋が狙う相手とシチュエーションは?
彼らは闇雲に当たりに行かない。
狙うのは、お金持ちに見える人。
首や手首にアクセサリーをジャラジャラつけている人や、高級なスーツを着ている人。
当たり方は?
正面からぶつかると、ある程度自分にも過失が出てしまう。
そこで、全然周りを見ていない人には、わざわざ背中を向けて、ぶつからせる。
相手が自転車の場合は、相手に過失があるので、正面からぶつけてもらう。
当たり屋が請求する金額は?
実際に、歩きスマホをしていた人は支払うのか?
もし、相手が支払いをしぶっても、
「警察に行きましょう!」と、当たり屋が自分から言う。
結局、スマホをいじりながら歩いて相手を転倒させてケガをさせたりすると、「過失傷害罪」になるため。
「警察に行って過失傷害かジャッジしてもらおう」という話をする。
すると、相手が面倒くさくなり、その場で示談になったり、互いの連絡先を交換して、後日改めて示談という流れになる。
時計が壊れたということで、示談金は10万〜30万くらい。
狙うは保険
さらに、大金を分捕るために狙うのが「保険」。
保険会社がお金を支払う場合があるので、その時は徹底的に支払わせるという。
スマホの細かい傷まで全部見積もりを出して、修理費として請求するように心がけているという。
自宅に火災保険が入っていれば、ケガさせた場合、個人賠償責任保険がある。
当たり屋は どれくらいいるのか?
この元締めの二人組が始めた当たり屋の手口をマニュアル化。
その約20人の子分が、全国で当たり屋家業をしているという。
詐欺として警察に相談できるのか?
やはり、歩きスマホが悪いとなり、詐欺だと立証するのは難しい。
正当行為?
彼ら自身は詐欺だと認識しながらも、歩きスマホを成敗する”仕置人”を自称し正当化している。
歩きスマホはしない方がいい
歩きスマホは視界が狭くなり、思わぬ事故の元になる。
街中でスマホをチェックする時は、人通りの邪魔にならない所に立ち止まってからにした方がよい。